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究極の青田買い、AWS Educate ジョブボード機能のインパクト

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40年という育成期間の差

いつも書いていることですが、物事には原因と結果があり、そこには時間という要素が必ず関係してきます。

日本政府はAI人材25万人育成計画しているそうですが、こちらの記事を見ると、アメリカとの差は、1980年ごろから比較し約40年、その後の方針転換からもそれなりの年数が経過しています。

米政府は1980年ごろから、AIやデータ分析を含むコンピューターサイエンスの重要性を提唱。この結果、多くの米大学が電気工学科などを縮小し、コンピューターサイエンスの学部を立ち上げた。日本は遅れること10年、90年代後半からコンピューターサイエンスの拡充に乗り出した。
だが当の米政府は07年に方針を転換した。中国やインドの大学がコンピューターサイエンスの人材を大量に育成し、従来のままでは競争力は維持できないと分析。機械、法律、医療などと組み合わせ、複合領域で専門を持つ人材を育成すべきだと提言した。これが後に、あらゆるモノがネットにつながるIoTや自動運転、医療AIなど新たな産業領域を生み出すきっかけとなった。
一方、日本は「コンピューターサイエンスが専門分野に閉じ過ぎている」と複数の大学関係者が指摘する。複数の分野を専攻するダブルメジャーなどを通じた、他の産業との連携にたけた人材の育成ができていないというわけだ。

これから育成計画をスタートさせる日本は、この40年という育成期間の差を埋めるのにどれだけの時間を必要とするのだろう?と考えると気が遠くなってきます。

明日のクラウド技術者を今日から育てるAWS Educate

さて、前振りが長くなってしまいましたが、昨日AWSの『EdTech系スタートアップ支援プログラム「AWS EdStart」および教育プログラム「AWS Educate」に関して』という発表会に参加してきました。

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不勉強だったのですが、AWS Educateは「明日のクラウド技術者を今日から育てる」というコンセプトのもと、グローバルでは2015年にスタートした無償のプログラムだそうです。

AWS Educateが重要視される背景としては以下の要因があります

  • 日本では2030年までに約60万人のIT技術者が不足するとされていること。
  • Linktinの「持つべきスキルトップ10 2018」1位はクラウドのスキルとなっている
  • IT人材の資格による年収で、AWSに関連する資格が10位のうち2位と4位にランクされている

AWS Educateは200カ国、2400校を超える規模感となっており、数十万人の学生、1万人以上の教員が登録しているとのことで、

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こちらの写真のように日本の教育機関にも浸透しつつあるとのこと。

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究極の青田買い、AWS Educate ジョブボード機能のインパクト

で、なぜ今回記事化したかというと、このAWS Educateは当然ながらクラウドのスキルに関する学習コンテンツが豊富なのは当たり前として、ジョブボードという機能の存在です。

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これは、AWSの顧客またはパートナーとAWS本体、またはAmazonの求人情報を得られる仕組みで、日本に居ながらにしてグローバル企業からの求人情報を簡単に得ることが可能になっているのです。

経団連が終身雇用はもうやめたい発言や、新卒の通年採用を採り入れる発表はそれなりのインパクトがありました。

その他にも、ここ最近は日本の大手IT企業からGAFAに転職する例と、給与格差の問題がさまざまに報じられています。

このような状況下において、国策としてAI人材25万人育成計画は、法科大学院の施策などを見ていても、産婆役はいたけれど、乳母はいない的な状況に陥るのが日本の常な気がします。

他方GAFAは自分たちのプラットフォームを利用して、優秀で将来性のある人材とこんな形で接点を確保し、リクルート活動につなげているということを知るべきではないかと感じた次第です。

「昭和16年夏の敗戦」には、日本は対米開戦にあたって、どうやって始めるかは決定していたけれど、どう終わらせるかは曖昧だった。一方アメリカは日本と戦争を始めた時点で、日本占領についての計画もスタートさせ、軍人に日本語を習わせたり、日本に詳しい研究者を雇ったりしていたという話が後書きで語られています。

今回の件についても、冒頭紹介したように人材に育成には時間がかかりますし、その業界で実績を残せるまでの成長にはもっと長いタイムスパンで物事を考える必要があるはずです。

そういう点で、プログラミング必修化やAI人材25万人育成計画が「昭和16年夏の敗戦」で指摘されているようなことにならないことを祈るばかりです。

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