電話は時間泥棒!? プロジェクトマネジメント知識体系から考えてみる、ビジネスにおける電話は何が問題なのか?
この時代に電話で連絡するなよ的なネタが著名人が言及することで忘れた頃に話題になったりします。
- 緊急でもないのに連絡してくる、
- 仕事が中断される、
などなど、効率がいいように見えて実は非常に効率が悪い電話によるコミュニケーションは時間泥棒と言われるまでになりました。
相手の仕事を中断させるなど、嫌われる理由として納得感が高い理由が幾つもあるのですが、電話連絡が嫌われる理由を自分なりに考えてある仮説にたどりつきました。
まず、相手の事情を考えられる人、相手に自分の伝えたいことを適切にまとめられる人は以下のような特徴を備えていたりしませんか?
- 簡潔でわかりやすい(誤解しにくい)文章をまとめる能力がある
- チャット、メールなどツールも使い分ける(残す必要性が高ければメールを選択する)能力がある
- 加えて必要に応じて、図示した資料を添付するなど、伝える工夫をする
- 会話によるコミュニケーションを必要とする場合は、オンライン会議の予定を決めて実施してくれる
このように整理してみて感じるのは、情報を提供する側が自分の伝えたいことを相手にどうしたら伝わるかを、自分の伝えたい方法ではなく相手の立場で考えてくれているのが明確になってきます。
他方、いまだに主たる連絡手段が電話という人の傾向と、誘発している結果を考えてみます。
- まずは電話だと考えてしまう(他のツールがそもそも思考から除外されている)
- 大概は伝える内容が整理されていない状態で荷電している
- その場で消えていく音声によるコミュニケーションは、初めて話を聞く側の理解に対するストレスも増進してしまう(話すほうは思いつきで話すから楽)
- メールでは連絡した側の情報提供がどのような状態であったかを後でレビュー可能だが、「電話で言ったはず」という、電話を受けた側の責任だけが大きくなってしまう。
- 基本1対1なので、関係者への伝達の手間が更に必要で、大概は受信者がその負担を負う
上記を見てみると、受信者側の負担が高くなっていることがわかります。まとめるとこんな感じ、
今どき(電話以外の連絡手段があるにも関わらず)、相手に自分の伝えたいことを適切にまとめられない人ほど、電話という一方的な連絡手段を選択し、自分の説明の質は棚に上げ、相手による理解を期待するから、ビジネスにおける電話連絡は嫌われるのではないか?
プロジェクトマネジメント知識体系ガイドの「基本的なコミュニケーション・モデル」に以下のような図と記載があります。
コミュニケーション・プロセスの一環として、送信者は、メッセージを送信すること、伝達される情報が明確で完全であることを確実にすること、そして伝達内容が正しく理解されていることを確認すること、についての責任がある。受信者は、情報を完全に受信し、正確に理解し、適切に受信確認または応答するのを確実に行う責任がある。
これを踏まえると、電話によるコミュニケーションの問題点は以下のように整理されると考えます。
- 話の内容だけでなく、通話品質、周囲の音なども含め、送信時のノイズ懸念が高く、伝達される情報が明確で完全であることを確実にするという点で考えると、電話は優先すべき連絡手段とは言い難いのではないか。
- 受電することで受信確認のメッセージにはなるが、即時にフィードバックのメッセージとして、情報を完全に受信し、正確に理解し、適切に受信確認または応答をするのを確実に行う責任を負うのはリスクが高すぎるのではないか。
冒頭、伝える側の配慮に言及しましたが、プロジェクトマネジメント知識体系においては、受信者に正確な情報伝達をする立場として守るべきことだとわかります。
読めばわかるように、ビジネス上のやり取りにおいては、送信者と受信者が相互の責務を果たすために工夫すべき余地はまだ大きいように感じます。
わたしは50を過ぎてから視力と聴力の低下、残念ながら理解に要する時間も増えていると実感しています。
視力は文字サイズの調節で、内容理解は文章を読む回数を増やすことで衰えに対処することはまだ大丈夫かなと考えています。
ただ、通話品質が悪く、メモも取れずに会話内容を理解、記憶しておくことを求められる、電話を受けるのは可能なら避けたいと切実に感じています。