日経『アプリのデザイン模倣 日本は「無法地帯」』報道から、朝日『著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定』報道に感じるギャップ
2月13日の朝日新聞による「著作権侵害、スクショもNG 「全面的に違法」方針決定」の記事が大きな波紋を巻き起こしています。
私が指摘するまでもなく、著作権保護が推進されるメリットと、それに伴うデメリットについて多くの方が意見をネットに展開されています。
ソーシャルメディアで本来はNGのはずの画像がアイコンとして使用されている。本来アップロードされることが許されないはずの音楽やビデオがYoutubeには沢山ある現状を見ると、どこまで法令が有効性を持つのか、厳密に運用されるべきなのか私にはわかりません。
ところで、この朝日の記事が出る以前、2月4日の日経に「ウェブデザイン保護されぬ日本」という記事が出ていたのをご覧になったでしょうか?
日本の現状として、スマートフォンなどを使ってネットワークを通じて表示されるアプリ画面の画像は知財の範囲外とされており、これは諸外国と比較すると欧米や中韓に後れておりビジネス実態とズレがあるという記事。
ただし、スマホにインストールされたアプリ画像、家電についた画面に入っている画像であれば現在でも保護されているのだそうです。
記事では企業の知財担当者の声として、
日本は意匠の要件を厳格に決めすぎ、ビジネスの実態とのズレが目立っている
という言葉を紹介しています。
これを受けて、スマホで競争に出遅れた日本は挽回する機会としてハードよりもソフト分野で期待が膨らむ。これを受け特許庁も多くの意匠を対象に含められるよう法改正の準備に入ったと記事は伝えます。
そしてまとめとして、
安心してビジネスできる競争環境が欠かせない。まずは制度面で「ガラパゴス」からの脱却を急ぐ必要がある。
としています。
参考として、マイクロソフトがスクリーンショットを利用できないように厳格に制度運用して失敗した例を紹介しておきます。
わたし自身はスタジオ・ミュージシャンとして残した成果物が著作権で保護されることで現在も恩恵を受けている立場にありますので、著作権保護が進むこと自体は歓迎します。
ただ、今回接した著作権保護と、知財保護を推進するニュースの両方を読むにつけ、安心してビジネスできる競争環境の構築と、ソーシャルネットワーク時代における著作物の保護の難しさというか、そのギャップになにかモヤモヤしたものを感じています。