「引き継ぎ」を当然とする日本と、「引き継ぎ」は有り得ない米国の例から考える根本思想の違い
勤労統計問題で不正について引き継ぎがなされていたかが衆院予算委員会で話し合われたようです。
この話題に関連してなのかはわかりませんが、昨日わたしのfacebookのタイムラインにこんな「引き継ぎ」に関連した投稿が流れてきました。
日本では、非常に重要な仕事とも言える「引き継ぎ」がカリフォルニアのハイテク企業ではほぼあり得ないというすごいエピソードが紹介されています。
興味持たれた方は是非、前述のリンク先をご覧いただければと。
アメリカの映画で即日解雇された人がダンボールを抱えてオフィスを後にするシーンはよくありますが、言われてみれば即日解雇が合法な訳ですから、引き継ぎをさせる前提にシステムが出来ていないとも言えますね。
アメリカではかなりの州が「自由意志雇用契約 (At-Will Employment Contract) 」を合法としているとのことです。
これと比較すれば日本は解雇規制が厳しいとかそういうレベルとは次元が違うような気がしますが、それでもまだ日本の制度に不満を持っている人が一定数存在する訳です。
ヨーロッパはどちらかと言えば日本に近い制度設計になっているはずなのですが、整理解雇的な担当してもらう業務がなくなったようなケースにおいては許されるはずだったと昔調べた記憶があります。
このエントリーを書くついでに検索してみたところ、こんな資料が出てきました。
これを見ると、日本の労働基準法は予告期間について全労働者に一律に30日と規定していますが、欧州諸国ではそのような国は少なく、大部分の国で勤続期間に比例して予告期間が長くなる制度とっていることがわかります。
その水準はさまざまで、最低期間にも 1 週間程度から3 か月まであり、最長期間はざっと見たところ7 か月まであるようです。
この他にも注目すべきは、日本における解雇規制の議論の中では金銭解雇を取り入れる方向に向かっているような気がしたのですが、欧州では解雇予告期間と解雇手当の関係が多くの国では無関係であり、解雇手当と失業給付の関係についても多くの国では無関係とされているところです。
最後に、完璧な制度を作ることは不可能でしょうから、日本の制度の優劣についてここに書くことはしません。
アメリカがこれだけ働く側にとっては相当きついシステムを構築しているにも関わらず、アメリカにはどんどん人が集まる訳で、こういう問答無用型(?)弱肉強食型(?)適者生存(?)のシステムを皆が受け入れているというのはどうしてなんでしょうね。
根本思想が違うと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、どういう違いが起因してなのかという点は非常に気になるところです。