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日本に必要なのは『働き方改革』より『儲け方改革』

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昨日は日本の年末の風物詩、年越し蕎麦について書きました。今日は年賀状に触れてみたいと思います。

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この年末年始の休暇で確保できた読書時間でこんな言葉に出会いました。

売り上げを伸ばすのが経営目的ではなく、利益が増えるかどうかが目的

2000年に出版された書籍ではありますが、2017年を代表するワード"働き方改革"や"生産性向上"を考えるうえでこの考え方はとても重要なことは言うまでもありません。

そんなタイミングで、郵便局が大混乱しているようなので年賀状を控えるという記事が多くの「いいね」を集め上位にランキングしているのをBLOGOSで見かけました。

拝見したところ"働き方改革"と"生産性向上"に関連して、以下のような外部環境と内部環境の課題を感じました。

  • 年賀状は、日頃お会いできない方々に近況の報告をして交流を温めることのはず、そのような意味では近年の情報技術、特にSNSの発達は年賀状自体の意義を考え直す機会を与えているのではないか
  • 正月に働く職員の負担を考えると、無理して出さない方が、むしろ社会にとって良いのではないか?
  • 物流業界で働く人々の負荷低減、紙資源の消費削減による環境保全にも効果があると考えられる

こちらを見ると、2018年用年賀葉書の当初発行枚数は25億8600万8000枚だそうです。

年賀状の売り上げに占める比率について検索してみると、10%前後らしいことが見えてきます。

この売上比率についてめちゃくちゃ大きいとの指摘も見受けられるのですが、先ほどの現場の悲鳴を考えると以下のような課題感が浮き彫りになってきます。

まず、売り上げを伸ばすのが経営目的ではなく、利益が増えるかどうかが目的で考えた場合に改善の余地はないのか?

年賀状の単純売り上げ1600億相当と予想されますが、1月1日に配達するためのコスト負担として妥当、もしくは事業価値があるのか。

昨年はヤマト運輸の値上げも大きなニュースとして取り上げられました。

小倉昌男氏の「経営学」を読んだ方なら、ヤマト運輸が三越の配送業務を撤退した理由に、突発的な需要に対応するために体制維持の負担の大きさが背景の一因にあったことはご存知だと思います。

年賀状についても、確かに売り上げとしては大きいが、その事業を維持・継続していく会社の負担が適性(年に1日のための負担として)なのかを、日本郵政の中でどれだけ検討されているのかが気になるところです。

日本郵政の現場の負担、冒頭紹介した職員と思われる人たちの投稿を見ると、この時期幾つもの要因が重なっていることが見受けられます。

パンク寸前の郵便局、現場で働く人たちから続々と悲鳴 : 市況かぶ全力2階建

  • お歳暮時期など年末で郵便物の数が増大(ゆうパック含め)
  • Amazonやメルカリからの大量の配送発生
  • 宅配便業者の働き方改革実施による日本郵政へのしわ寄せ
  • 年賀状の配達

業務負荷の平準化は、グローバルスタンダードなプロジェクトマネジメント技法の中でも良い実務慣行として扱われている訳ですが、人間が手間暇かけて作業する、苦労にめげず頑張って目標達成することを美徳としてしまい、結局ここの日本人的マインドセットが変わらないために"働き方改革"と"生産性向上"の実現を阻害していないでしょうか。

戦後復興期から高度成長期、そして80年代のバブル期を経て、これまで生活の多様化を背景に、昼夜関係なく24時間のなかで提供可能なサービスの最大化を実現させて来た日本。

そして2017年は、宅配業者の再配達問題、ファミリーレストランやコンビニの営業時間変更などなど、そもそもの戦略見直しの転換点を迎えた年として刻まれるのではないでしょうか。

現場の疲弊があったとしても、その無理な働き方ができるのが、日本郵政の差別化戦略である。という選択も可能ではあるでしょう。ただこの思考から変化する必要がありませんか?というのはここ最近の流れなのではと。

「どんなに大変でも、歯を食いしばって1月1日に頑張って配達します」というマインドは多くの人の賛同を得られると思います。ただ世の中にはそこまで現場が疲弊しているなら年賀状出さないことを選択する人も今後確実に増えるでしょう。

日本の文化として年賀状が無くなることはないでしょうが、働き方改革というよりは『儲け方改革』というそもそものシステム、メカニズムの改革の必要性や可能性に気が付くことができる例ではあるように思います。

他の多くの会社組織、各事業(一見収益が上がっていると見える事業)においても、儲け方として変革が可能ではないのか?という考察は可能だと考えます。

冒頭で売り上げより利益だと書いており、一部矛盾をはらむのですが、"はたらく"という言葉には、端の人を楽にするという意味合いもあるとのこと。確かに年賀状を配達してもらい消費者は楽をさせてもらっていますが、その現場が維持できないほどにシステム疲弊しているのだとすると、何かしらの改革は必要ではないでしょうか。

そういう意味で、わたしの会社においても、掛ける労力と収益に合理性があるのか、継続する意義があるのかを今年は分析して改革していきたいと感じた元旦となりました。


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