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多くの日本企業が抱える構造的問題を浮き彫りにする、浅草「仲見世商店街」家賃問題

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仲見世の家賃値上げ問題、

紙で販売されている記事では浅草における家賃などの相場には一切触れずにこんなまとめ方をしています。

スタバのような大資本しか出店できなくなれば、仲見世の価値はもうあるまい。

すでに多くの方が近隣などの家賃相場についての指摘や、浅草寺の集客力を考慮した場合の、値上げ後の家賃の妥当性について指摘をされていると思いますので、わたしのブログでは別な観点からの指摘をしておきたいと思います。

戦後日本は、欧米に比べ高品質で安価という、ある意味矛盾する事を実現させてきた歴史があります。

そこに加えて年功序列・終身雇用を維持するという経営方式を採用してきた多くの日本企業においては若いうちに賃金が高く設定されることはありません。賃金カーブが高いところに行ってしまえば恵まれた環境と言えますが、このモデルの維持が困難になりつつあるのが今の日本です。

先日ファーウェイの新人給与金額のことが話題になりましたが、スマホがブームになった際にも新人に高給を払う企業のことが取り上げられたような記憶があります。

本田宗一郎氏の「俺の考え」だったと思うのですが、ホンダが高い給与設定をするので、周りの企業が迷惑がっていたというエピソードが紹介されていたように思います。

日本の給与設定は欧米だけでなくアジアにおいても安い設定になりつつあるようですが、この設定では日本だけでなく海外からの優秀な人材を引き寄せることができないという懸念があります。

多くの企業ではこれまで日本人を雇ってきた賃金テーブルや評価方法しかなく、この方式は海外の人から見れば理解できないことも多くあると思われます。

業界そのものの単価設定など、企業側だけの問題ではないのですが、これまでの日本のビジネス市場で設定されている価格設定で高い給与を負担すること自体が困難な業種は多いのではないかと推測します。

仲見世もこれまで、戦後からの流れで、たまたま家賃を安くやってこられたけれど、そのコスト負担は世間一般からすると乖離していて、本来なら近隣相場の家賃負担でやっていける事業モデルを回すことが必要です。

これを人件費と多くの日本企業に置き換えて考えると、

日本企業も、年功序列・終身雇用前提でサービス残業やら、たまたま人件費を安くやってこられたけれど、そのコスト負担はグローバルな観点からすると乖離していて、本来ならワールドワイドの賃金テーブルを負担してもやっていける事業モデルを回すことが必要です。

こんな風に置き換えできる気がします。

仲見世家賃問題は少し視点を変えることで、そもそも日本の企業が抱える構造的な問題に共通するモデルであるような気がします。

最後に、私自身が経営する会社においても、優秀な人に働いてもらおうとすればより多くの給与が必要となりますが、そもそもやっている事業の収益性がネックでコンフリクトしてしまうケースがあります。

根本的に商売のネタを変えるのか...など、事業継続の根本的なところで対処を必要とする課題だけに、答えがすぐ手に入る課題ではありませんが、経営者は考えて、行動するしかないでしょう。

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