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ベンチャー企業と公務員の組み合わせは意外とアリなのでは?

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ベンチャー企業に公務員? 地方はそんなに人材難なのか?

ベンチャー企業に公務員? 地方はそんなに人材難なのか?」という記事を見かけた。

一般的に考えて、公務員としてのスキルを持った人が、ベンチャービジネスで卓越した成果を上げることは極めて困難です。

という指摘がなされつつ、文章はこうまとめられている。

 もしそれが実現できるということであれば、それは革新的なベンチャービジネスではありませんから、公務員を再就職させてまで、こうした企業を支援する必要があるのか疑問視する声が出てくることになるかもしれません。

 公務員のスキルや経験しかない人でも、採用せざるを得ないほど人材が枯渇しているのであれば、この人材難を解消することの方がはるかに重要ということになります。もっとも、地方の現場では理想論など言っていられないという現実もあるようです。政策の優先順位について、議論を深めることが重要でしょう。

この記事への反応に、公務員は民間企業で使えないという指摘がなされているのも見かけたのだが、他の考え方も出来ないだろうか?

組織戦略の基本は官僚制

先日、講義で指定された課題図書について、内容を取りまとめ発表する機会があり、担当した書籍が経営学者である沼上幹氏の「組織戦略の考え方」だった。この書籍にある「組織戦略の基本は官僚制」という内容が、今回の記事についてもいろいろな示唆を与えてくれる。

官僚主義という言葉が褒め言葉として使われることが少ないのは同意いただけるかと思う。初見の段階では、組織戦略の基本は官僚制という主張に「?」と思ったのだが、読み進むうちに納得感が増していったのでその内容をご紹介したい。

わたしと同様に、「組織戦略の基本は官僚制」について疑問に思う方はこう考えてみてはどうだろうか?

「しっかりした組織」とは?

「しっかりした組織」とは、各人が自分で判断できる問題をほぼ自動的にミスなく解決、判断に迷う問題については上司の判断を仰ぐ、このような一連の作業を至極当たり前のように遂行する組織であると沼上氏は指摘する。

官僚制の基本モデルはプログラム(手順とルール)とヒエラルキー(階層・階級)である。 皆さんも毎日繰り返しの仕事を、毎回「どうやって解決しようか」などといちいち考えたりしないだろう。そして「しっかりした組織」であればプログラムで対応できない例外をヒエラルキーによって上司たちが考え処理する仕組みが適切に運営されていることは、職業人であれば体験的に納得いただけるだろう。

このことから「組織戦略の基本は官僚制」について一定の理解をしていただけるのではないだろうか。

創造性・戦略性を支える足腰

官僚制組織がしっかりとできているから、その足腰の上に創造性や戦略性の発揮が可能になる。だから組織設計上の工夫は、「官僚制を打破して、官僚制を代替するべく」行われるのではなく、むしろ「官僚制に付加する形」で追加的に行われるべき。

つまり、ベンチャーと言えどスピーディーに仕事を処理できる機構になっていなければ、例外処理に侵食され、経営層は中長期の計画や重要な経営課題に取り組む時間が減少する。

組織階層別の役割

逆説的だが、ベンチャー企業であっても、末端の稼ぐ部分が官僚制組織としてきっちり回るようであれば、その企業はより成長する可能性が高まるとも考えられないだろうか?

今回取り上げられていたベンチャー企業に公務員という制度、公務員としてのスキルを持った人が、ベンチャービジネスで卓越した成果を上げることは極めて困難な一面があることは事実であろう。

だが、その役割の与え方によっては、組織が脆弱なベンチャーであっても、官僚的組織運営のプロと言える公務員が協力してくれることでキッチリしと成果をあげられれば、人材不足の解消を超えたエポックメーキングな出来事になるような気がするのだが、少し飛躍しすぎだろうか(苦笑)

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