学歴の値段 ~総額1兆ドルを超えたサブプライムローンよりタチの悪い全米の学資ローンの実態~
大学は高い学費に見合う価値があるのか?
20歳で専門学校を卒業、47歳で大学に編入した立場としては大学の価値を認めたいと言いたいところですが、やはり払える学費には限界があります。
大学全入時代における大学の生き残りへの課題、学費の値上がり、わたしのブログ記事が転載されているBLOGOSのほうでは奨学金の問題が論じられる機会も幾度となくあります。
たまたま今日、「学歴の値段 ~集金マシーン化した米大学の真実~」という映画を見る機会がありました。
内容は、高等教育の価値に鋭い疑問を投げかけながら、規模の拡大に走ったビジネスモデルを導入しているアメリカの大学教育への問題提起をしている映画です。
劇中では、14万ドルを超える学資ローンを抱えながら修士号を取得したのに仕事にありつけないという例を紹介しつつ、2013年25歳未満の学卒者の半数が失業中という数字を紹介しています。
1970年代には給付奨学金で州立大学に通えたのが、現在ではその一部しか賄えず、その結果学資ローン産業が予想外の発展を遂げているというのはまさにアメリカ的。
注目すべきは全米の学資ローン総額が総額1兆ドルを超え、米国のカードローンを上回る規模に到達している点です。
サブプライムローンは世界中に影響を与えましたが、差し押さえや破産という住宅ローンにある安全弁が学資ローンには欠けている点で教育はある意味住宅よりタチが悪いというペイパルの共同創業者ピーター・ティールやDIY Uの著者、Anya Kamenetzの意見を取り上げています。
学資ローンの半分以上は繰り延べか債務不履行となるが、借金は死ぬまで増え続けることなるのですが、政府は今後10年で1840億ドルを教育を受けようとした者から吸い上げることとなる制度自体が根本的に間違っているという問題認識が米国の議会の中でも起きつつあるようです。
このような問題を踏まえ、かつては高い評価を受けていたアメリカの教育機関を危機的状況に追い込んでいる実態をこの映画は紹介しています。
鳴り物入りで始まったハーバード大学からコミュニティ・カレッジ、オンライン学習は、バラ色の成果をあげられたのか?、現在の教育危機を掘り下げながら驚くべき現状を明らかにしているこの「学歴の値段 ~集金マシーン化した米大学の真実~」は一見の価値ありと思います。