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首相が中小企業や人材をシリコンバレーに送り込むと言ってますが、ふと梅田望夫さんの「日本人一万人・シリコンバレー移住計画」を思い出しました。

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アメリカを訪れている安倍総理大臣がスタンフォード大学の公開講座で

「日本には世界に誇る技術力を持ちながら、地域でくすぶっている中小企業がたくさんある。この中から5年で200社を選りすぐり、シリコンバレーに送り込み、新しい会社として生まれ変わることに挑戦してもらいたい」

「ベンチャーに挑戦する人、大企業で新事業に挑戦する人などを毎年100人募集し、この中から選りすぐりの30人をシリコンバレーに送り、新たな事業の立ち上げに挑戦してもらう」

という話しをしたようです。

また、こちらの記事ではサンフランシスコ市内で開いた朝食会で日本人起業家たちと食事をして

「なぜこちらではどんどんベンチャーが生まれるのか。みなさんの率直な意見を伺いたい」

と幅広いテーマで議論が行われたと報じられています。

後から紹介した日本人企業家との朝食会でシリコンバレーと日本における起業家の位置づけや失敗の受け止め方の違いなど幅広いテーマで議論が行われたことは有意義な気がしますが、冒頭紹介したくすぶっている中小企業を送り込むとか、選りすぐりの30人ってなにか違和感を感じます。

多分総理も日本人企業家と話しをして分かっているとは思いますが、シリコンバレーに本気で飛び込む気がある人は別に政府に選りすぐってもらう前に自分で行ってますからって、、、

この話しを聞いてふと思い出したのは、「ウェブ進化論」のGoogleMapのAPIを使った「はてなMap」の説明をあるメーカーにしたというエピソードの中で、システム部門長が「これはおもちゃですから」と口を挟んだというくだり。

その他にも、パソコンというおもちゃが情報システムとして使われる訳がないとか、ネットのような中央管理機能のないいい加減なネットワークが情報スーパーハイウェイであるはずがないというエピソードなども出て来ます。

「ウェブ進化論」が出版されたの2006年で、今回読み直してみるとシリコンバレーに日本人が少ない理由として持田さんはP231でこんな見方を示しながら、

この何十年もの間、日本の大企業が技術系大学生・大学院生のトップクラス大半を新卒採用し、自由度の高い研究の場や世界最先端の技術開発プロジェクトに関わる場を与え、さらには終身雇用という安定した好条件(円高が進んだ一時期は正解最高賃金)を提示し続けていたからである。

そして話しは「いったん蔵した組織を一度も辞めたことのない人たち」ばかりの発想で支配されている国だということを再発見したと綴っています。

安倍総理は残業代ゼロ法案を通した総理として一定方面にとっては糾弾すべき相手である訳ですが、今回総理は会談したシリコンバレーで成功している大物企業家達とも面談しているようです。

ちなみにこれらの会社が採用している人事システムの中には、相互にメリットのある雇用期間を設計し"この同盟によって、両当事者はどのような利益を得て、どう進歩するのだろうか"と言う観点で契約をまとめる有期雇用方式もあったりするので、この会談の影響がどういう形で出てくるのか興味があるとことです。

少し長いですが、最後にもう一度「ウェブ進化論」を言葉を借りたいと思います。

グローバルに活躍する日本人たちの経験に共通する「転職によるいい意味での人生の急展開」「新しい場での出会いがもたらす全く新しいオポチュニティの到来」「組織に依存しない個人を単位としたネットワークがフル稼働することの強靱さ」「いつ失職するかわからない緊張感の中で、常に個としてスキルを磨き自分を客観的に凝視し続ける姿勢が、いかに個を強くするか」といった新しいキャリア・パラダイムにつて、日本のエスタブリッシュメント層の人々は、頭では理解できても、経験に裏打ちされた創造力が全く働かないんだ。

とあって、今回の総理の話は実現すればそれなりに税金も使われるのだろうと素人とながらに想像しつつ、シリコンバレーに送り込む人材を選ぶ人が、どんな人でどう選ばれるのかがとっても気がかりでしょうがありません。

P.S.
今回このエントリ書くのに「ウェブ進化論」読み直してみて、梅田さんが「日本人一万人・シリコンバレー移住計画」なるものを立ち上げていたことを思い出しました。そちらのなりゆきはこのあと検索してみようと思います。

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