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ビックデータ時代、課長や部長そして経営者が習得するべきスキルとは?

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通信性の大学で4年に進学する際の科目選びで、最近ビックデータ、DMPというようなワードであったり、統計学が最強の学問であるというような著書が話題になったりしているので「統計学」の単位も選択してみることにしました。

平均値、中央値、お馴染みの偏差値から、分散、変動係数、正規分布、回帰分析などなど中学にあがった時点で学校での勉強に積極的に関わることを辞めてしまった自分の脳みそにはハードウエアが壊れそうな高負荷作業の連続となってしまい、これを通信教育という形で学ぶというのは軽い絶望感を伴うものでした(苦笑)

こういう基礎的な勉強をしていない自分が悪いという基本前提を踏まえつつも、大学から配本されたテキストは出てくる記号の意味についての解説も少なく(後述する参考図書では最初に統計学を学ぶ前提として細かい記述をしている書籍のほうが多かった)、これでは脱落者が相当数出てしまうのでは?と思う構成であったりする訳ですが、

で、どうやって学習を進めたかというとポイントが2つあり

1つは、シラバスに書いてある推薦図書を入手し、そこからまた参考文献で紹介されるものに当たりながら自分の脳みそにも解る方法で書かれているテキストを見つけることが出来たから。

で、

2つめは表計算ソフトとネットの存在

統計学の学習については、普通の電卓しか使わせないタイプと、関数電卓でもOKというタイプ、そして今は当然ながらパソコンを使った計算も可能ですから、誰から、どう学ぶかで結果の得られ方が大きく違って来ます。

電卓の無い時代を振り返ると算盤や筆算で計算していた時代もあるでしょうから、そこでくじけるのは才能が無いと断ずることも可能かも知れません。でも自分が勉強を続けられたのはパソコンで検算しながら自分の取組み方が間違っていないかを確認できたからです。

仕事に関する場面では勿論、大学の授業で議論する場面でもビックデータというワードが出てくる機会が増えていますが、このよな統計学を学んでビジネスに活用できる才能が求められている時代に教育の現場がもっと実用として学問的知識を発揮できるように教育の方向転換がもう少しなされても良いではないか?と感じます。

複数手にした書籍の中でも繰り返し書かれている統計学の取っつきにくさと、ビックデータ、ビックデータと世間が騒ぐにつれ、いろいろな誤解が巷に溢れそうな予感をひしひしと感じているのですが、1968年に書かれた「推計学のすすめ―決定と計画の科学」の最後にはこんな言葉が書かれています。

推計学の勉強を始めようとする立場には二つある。第一は、実際に推計学を方法を知って、実験や調査や管理を計画・実施・解析する、研究室の研究者や、工場の技術者や販売・経理の担当者の立場である。これを行動の立場と呼ぼう。

第二は、データを自らつくる必要はないが、そのデータから導かれた結論に責任を持たねばならない課長や部長の立場である。さらに、その結論を部課長から説明されて、それを正しく理解し、今後の行動を決定しなければならない経営者の立場である。

中略

このような立場の人にとっては、実際に演算の手順を知る必要はないが、しかし、統計学という権威を盲信したり、逆に経験論をふりまわして無理解ぶりを発揮しないために、少なくとも、母集団とか仮説検定とか、標準偏差という言葉が何を意味するかを知っている必要がある。この立場を判断の立場と呼ぶことにしよう。

必要なデータを集め集計するところまではITが助けてくれますけど、自分の周りを見回して、結論に責任を持たねばならない課長や部長の立場や、結論を正しく理解し、今後の行動を決定しなければならない経営者で仮説検定とか、標準偏差という言葉が何を意味するかを知っている人がどれだけ居るか?と考えるとかなり実情お寒い感じではないでしょうか?(繰り返しますがこれ昭和43年に書かれている本です)

集計と分析は違うという話しや、統計的に得られたところからどう予測・仮説を立てるにはまた別な才能が必要なのでは?という話しも大変掘り下げる価値があると感じています。

こちらについては最近オラクルのイベントで「統計学が最強の学問である」の西内 啓さんの話しを聴く機会があったのでそこはまた別なエントリで書きたいと思います。

あと自分のように独学で統計学などにチャレンジしていて苦労されている方向けに、自分が参考になった書籍をこちらに紹介しておきます。


著者の鳥居さんが慶應義塾の塾長に就任するにあたり現場を離れるということで、統計学が必要なのに自分に数学的な基礎知識とのギャップに悩んでいる学生を一人でも救えることができるなら…という事で書かれた一冊ということで、まさに初歩を学ぶにはこの一冊は必携だと思います。


エントリの中でも紹介した一冊です。書かれた年代は古いですが、その当時の急激な近代化の流れの中で統計学の必要性を分りやすく解説しているというコンセプトは現代においても有用です。


「はじめての統計学」の鳥居さんが統計学の発達の歴史を知るという観点で推薦している書籍です。自分は専門に統計学を修めるという訳ではありませんが、こういう歴史・背景を知るのは大変面白く、知識の引き出しを増やしたい方には大変お勧めです。

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