「ウェブデザインに意匠権」でデザイナやクリエイターが稼げる日本に
今朝の日経に大きく「ウェブデザインに意匠権」という記事が出ていましたね。
ここ最近は電子書籍ネタが多いですが、自分の会社であるCMパンチは、Webデザインの他、スタンドアロン、Web問わずアプリケーションのユーザ・インターフェースデザインやアイコンデザインなどの仕事で食べている会社だったりします。
企業サイトのデザインや、プロモーションビデオの制作などの仕事で著作権の譲渡の条件が惨いものは沢山あり、こればっかりは企業の大小関係なく、何でもかんでも買取してしまえば自由になると思い込んでいるような担当者もいて、案件においては非常に大きな問題に発展してしまう場合もあります。
ここ最近の学校教育ではインターネット利用に関する授業もあるようで、そこでは勝手に他人の画像などを利用しちゃいけないって教育受けると思いますが、仕事のレベルでどういう知識が必要かとなると、個々人が勉強するか、企業の人材教育がまず大事だったりするわけですが、
記事の中で日経はこんな指摘をしています
- 特許庁としてはウェブページやアイコンにも意匠権を認め、欧米など主要国に制度に近づけ海外進出を支援する方向で検討開始
- 欧米や韓国では意匠権を認めるのが一般的だが、日本では著作権が認められる程度
- アップルとサムスンが繰り広げる知的財産訴訟でも画面デザインが問題になっている
- 国内もでグリーが自社ゲームの著作権を巡りDeNAを提訴、東京地裁は配信差し止めと損害賠償支払いを命じる
- 携帯は画面が小さく作品のデザインが似通ってしまう問題があり同様の訴訟が相次いでいる
- 意匠権を認めることで想定される問題としては、他企業から訴えられる可能性が高まり、それに伴う訴訟回避や意匠権の登録への手間、コストが増えて創作活動が停滞するという懸念も一部にあり
最後の項目はいかにも日本らしい指摘だと思いつつ、もともとアイデアに対して対価を払いたがらない日本人ですから、こういう制度を導入するならするで、製作者側に不当(不等?)な条件での権利買取や譲渡を求めないというような縛りも一緒に導入してほしいものです。
アメリカとか一定のレベルに到達するまでの競争の激しさは日本の比じゃないですけど、企業だけではなく個人であってもちゃんと保護されるべきところは保護されていて、才能のある人たちはそこから得られる収益を分配することでより創造的な活動に従事できているという印象があります。
日本でもこういう例が無いとは言いませんが、画面のデザインもアイデアがあっての話ですから、前述のようにアイデアにお金払うのが苦手な日本人、そして仕事を出す立場を利用して、会社側に有利な条件を飲ませようとするとか、そこにまた権利とか要りませんって仕事する人も出てきてしまい、クリエイティブな分野でお金を生み出す素地を潰しているようなところがあるとずっと昔から感じていたりします。
金融問題に関するNHK特集で、その昔多くの収益を上げるトレーダーが会社側に対して待遇改善を要求、そこから個人が莫大な収入を得るようになってこれは収入格差など大きな問題、ひずみを生むキッカケにもなっています。
音楽の分野ですとCMタイアップや番組主題歌としての採用されることで露出度合い、放送回数などが収入に反映するケースや、あとパチンコで楽曲が流れるというのも大きな収益源になったりする場合もあり、
こういうのはどこまでが適正でって線引きが大変難しい問題ですが、デザインの方面においても、受発注者双方の権利意識向上とそことマッチした製作予算を確保するという考え方が浸透して欲しいものだと制作で食べている側としては思うのでした。