「30%引きで人は動く」無茶なクーポン契約する前に知っておきたい「イールドマネジメント」
ガジェット通信のほうで「グルーポンのマックカードに殺到! 既に5万5000枚以上が購入される事態に」という記事が掲載されて昨日TwitterやらFacebookでやたらとこのネタを目にする事となりました。
500円のマックカードが割引率80%ということで、確かに消費者側にとっては嬉しい限り、当のマック側にしても5万5000枚で2千2百万程度の負担であれば、新聞の広告を打つ程度の費用負担感覚でクーポンで潰れそう…という最近起きた騒ぎとは比較にならない例なのかもしれませんが、以前にモスバーガーがクーポン実施して客数、売上高とも増加したけど、客単価の落ち込みで社長さんが失敗した…って語ったことがありました。
先月2月に毎度お馴染み、日本印刷技術協会のPAGEのイベントに電子書籍ネタで講演させていただいたのですが、このとき同じセッションでロケーションバリューの砂川さんとご一緒させていただきました。
ロケーションバリューさんは「イマナラ!」というクーポンサービスを提供されている会社さんで、テレビなどでも取り上げられているのでご存知の方も多いのではと思います。
冒頭紹介したガジェット通信の記事では「こういうのが本当のクーポンのあり方だと思うんだよね。」と書いてありますが、クーポンを発行する企業側としてはこのクーポンを普段込み合う時間帯に使われてしまうとせっかく忙しい時間帯に正規料金を使ってくれるお客さんではなく、割引料金のお客さんを入店させることで収益が悪化してしまうケースもあり、クーポンで集客するということが必ずしも売上増加に直結しない…という話しを聞いて「そりゃそうだ!」と納得した次第。
「イマナラ!」のサービスはそもそも「イールドマネジメント」という手法をベースにして考えられたサービスということなのですが、この「イールドマネジメント」というのも奥が深そうで勉強しておくと役に立ちそうですね。
MBAホルダーの方々からすると一般常識レベルかとは思いますが、簡単にご紹介しておくとイールド・マネジメントは、1970年代末期に航空会社が飛行機の座席をいかに効率よく販売するか、ということを追求して生み出された考え方との事。
その概念を商品やサービスがある時間の到来と共に価値を失ってしまう場合に適用してこの「イマナラ!」も考えられているわけですが、スマートフォンの浸透という時流をうまく活用しながら
- 時間限定クーポンの配信
- クーポン発行枚数の限定
- ユーザーへのプッシュ情報配信
- ユーザーからのクーポンリクエスト
- お気に入り登録機能
こういったネットサービスならではの機能で店舗への強力な集客を実現しているようです。
ASPサービスなので店側の意思で発行のタイミングや特典内容を決められるのが一番の特徴だと思うのですが、この「イマナラ!」のサービスを使っておけば「たい焼き」屋さんのようなトラブルも回避できたろうに…と素人ながら思ったりします。
砂川さんの話はとっても興味深い事例が沢山紹介されたのですが、ここ最近のクーポンサイトのやりすぎでは?と思えるような割引率について
「30%引きで人は動く」
という話しが大変印象的で、ここ最近クーポンサイトが店側とのトラブル他多発させている状況下、きっと乱立する各種クーポンサイトから営業掛けられている経営者、店長さんは是非、この「30%引きで人は動く」という話しを耳に留めておかれてはどうかと思う訳です。
クーポンは金券ですから、ホームページなどでプリントアウトしてご利用ください…なんて事したらえらい大変な事になる訳ですが、そこは「イールドマネジメント」の考え方で
今夜は雨でこのままだと売上目標に届かなそうだ…というような時間の到来と共に価値を失ってしまう場合に、店のパソコンから枚数限定で、時間制限付きのクーポンを発行できるというのは経営者や店を預かる店長さんにとっては非常に嬉しいサービスなのではないかな…心底感じたのでした。