安くなるPCを見続けて思うこと
私が初めてPCを買ったのは、今から20年前ぐらい。その時買ったPCはインテル386プロセッサのPC9801の互換機。EPSON製のデスクトップ。15インチCRTにインクジェットの白黒プリンタがセットで30万円。今ではそれなりの価格がするように思えてしますが、当時はかなり安いセットでした。
それから、何台もPCを買い換えましたが、その都度PCの価格は下落してゆく。それが今では、デスクトップPCであれば5万円出せばモニタセットも買えます。プリンタも1万円以下でも買えるようになりました。当然、30万円のセットを売るのと、5万円のセットを売るのでは儲けが違う。もしかしたら、30万円のセットであったら、5万円ぐらい利益を取られていたのかもしれません。
当然、20年前と比べて現在のPCの流通量は格段に違うと思います。流通量が多くなれば、価格が下がっても、収益は確保できるのがセオリーです。しかし、そのセオリーを覆す出来事が最近起こりました。それが、HPのパソコン部門の切り離し。
HPはパソコン出荷量は業界一位のリーダー。セオリーでいえばリーダーのポジションをとれば収益を確保することができる。企業でいえば守るべき分野だといえます。しかし、それを切り離すということは、金の成る木を売り払うようなもの。
では、業界No1のHPであってもPCはもうからないのでしょうか。私は、もうからないと思います。なぜなら、PC業界は多くのメーカーが乱立しするため、価格競争がとても激しい。且つ、どのPCであっても大抵Windows OSを利用するため差別化しづらい。他の製品であれば、高付加価値の製品をつくり高価格で売るという考え方もあるかもしれません。しかし、PCはOSを動かす為の機械なので、高付加価値の商品が作りづらく、差別化もしづらい。だからもうからない。
そうであれば、PCではなくクラウドなどPCを利用したサービスで収益を獲得する。HPがとった行動は当たり前で、至極理にかなった動きであると思えます。その反面、PC本体に関わるビジネスで利益を確保する方法があるのか?答えは出ていませんが、考えなければならない課題です。