Salesforce.comがソフトウエアを否定する日@Cloud force Japan(写真あり)
今朝10時に行われた Saelsforce.com の年次イベント、Cloud force Japanにはちょっと驚きました。それはその規模、参加人数です。会場はSalesforce.comだけではなく、オラクルやマイクロソフトだってイベントを開催することが多い東京プリンスパークタワー。その地下の会場を埋め尽くす、人、人、人でした。これだけの数を集めることができるイベントに成長したことが驚きです。申し込みで5,700人に迫る勢いだったことが発表されており(Twitterで発表されている)、来場者も3,000人に迫っていると感じます。(会場の雰囲気は技術者、経営者と入り交じっており、しかも、やや若い、なんと、初代日本オラクルの社長である佐野氏も来場していました)
午前中の基調講演で語られたテーマは「Welcome to the Real-Time Cloud」つまりリアルタイムクラウドです。Salesforce.comでは、クラウドを、Sales Cloud、Custom Cloud、Service Cloudと位置づけて話をしています。一貫して、Microsoft, Oracle, SAP などの企業を古くたとえ、ソフトウエアを購入するという考え方が、大きな問題であると解き、ソフトウェアという考え方の否定からはじまります。
なお、このイベントでは基調講演のスライドがカラーで配布されており、手元に資料があるというのはとても助かります。最近では珍しいと思います。登壇した人も非常に興味深い方々でした。
最初は、Salesforce.comの社会貢献活動として「NPO法人札幌チャレンジド」代表の杉山氏が登壇、ほかにも損保ジャパンIT企画部 久田氏も登壇しています。
Sales Cloud のデモンストレーションでは顧客管理のデモンストレーションを通じて、Google や基幹システムとの連携やマッシュウアップ、カスタマイズなどを紹介していました。新しい機能である「コンテンツレポジトリ」や「ジーニアス」と呼ばれる類似案件の検索機能などはデモもわかりやすいものです。(オラクルにも Oracle Sales Prospector、Oracle Sales Libraryという機能があり、私がデモンストレーションをした経験があります)
新しい機能には、メール添付などのGmai連携などがあげられます。
もうひとつの新しい(イベントの少し前に発表された)Service Cloud 2では、新規に追加された機能は SNS(Twiter, facebook)関連の連携機能やナレッジベースの活用がリアリティ高く表現されています。
ここでも、興味深い登壇社として、経済産業省の商務情報制作局 情報経済課長 前田氏の登壇です(私もお会いしたことあります)。前田氏の発言では「ハードウェア、ソフトウエアに関連するモデルの変革であり、クラウドは銀行と同じではないか」というわかりやすい説明です。(ただ、銀行と同じという比喩はちょっと、金融では米国に集中し崩壊したワケですから...)
なお、経済産業省はエコポイントのシステムをSalesforce.comで構築したからというのも登壇の理由のようです。
ここで、Service Cloud 2の新機能のために登壇社として、GDO石坂社長(お会いしたことあります)、mixi 笠原さん(こちらもお会いしています)が登壇されています。とっても興味ぶかい登壇者の方々でした。「安い値段で、非常に素早く情報システムを構築でき、情報を共有できる、CRMカスタマーリレーションから、コミュニティリレーションが新しい時代のマーケティングである」という言葉と「mixiアプリとsalesforce.com の sns の機能との連携でコミュニティの世界が広がる」というのはとても印象的でした。デモンストレーションでは、セルフサービスによるカスタマーポータル、公開サイトの構築、Salesforce for Twitterの連携でもが披露されました。Salesforce for Twitter は初めて見ました。会場でその Twitter タグにすぐにポスト使用と思いましたが、残念…会場でイーモバイルやwifiは使えませんでした。ほんとに残念。
(最近の傾向として、Googleのイベントでも Microsftのイベントでもあったように、TwitterやFacebookなどのSNS連携か、あるいはiPhoneやAndroidモバイル端末などの連携が随所で見られます、非常に先を行っているイメージと、身近なイメージの両方を与えることができるのでしょう)
SNSの連携やモバイルデバイスとの連携をみていると、「どういうツールをつかって相手と対話をしなければならないか」ということに対してどん欲にチャレンジしている様子が分かります。
そして、最後に登壇したのが、Salesforce.com のイベントではもはや有名なローソンCIOの横溝氏です(もちろん、何度かお会いしたことあります)。「多くのコストと多くの期間をかけて作る情報システムの時代は終わった」というのが印象的でした。基調講演の間、CEOのマークが一番力を入れていたシーンは「サーバは不要、データベースは不要、OSは不要…、保守やバージョンアップに関する不安も不要」といったフレーズだったのはさすがSalesforce.comらしいメッセージだと感じました。
ちなみに、最後に行われた force.com 上の Visual force を使って独自ドメインのサイトを構築するデモは個人的にもう少し見たいと思えるものでした(午後のセッションでは無償のFree Editionを使ったわかりやすい説明がありました)。ただ、Webブラウザが2回ほどフリーズするというおまけ付き。やはり、Salesforce.comであったとしても、Webブラウザというソフトウエアにはかなわないようです。