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中国で音楽配信にチャレンジ

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セルフ・モチベーション・コントロール

さきほど近くの区立のジムで6km走って戻ってきた。元来、あまり運動は好きな方ではないのだが、最近は食べる量は増える一方、体を動かす量は減る一方なので、やはり暇を見つけては体を動かすように努力はしている。継続は力なりとはいえ、目標がないとなかなか継続することが難しいので、過去も香港マラソン、北京マラソン(いずれも10kmコース)などに参加して自分なりにモチベーションを継続するモチベーションを高めてきた。ビジネス、学問、健康、いずれに関しても、セルフ・モチベーション・コントロールが一番大事なのだとは思う。

MP5プレイヤー???

先日、暇つぶしを兼ねて時尚漢語(世界図書出版公司)という中国語の教科書を眺めていたのだが、その中の会話で、「中国では今やMP3プレイヤーは古い、時代はMP4、MP5プレイヤーだ!」というのがあった。自分はMP4プレイヤーやMP5プレイヤーがどのようなものかを知らなかったのでちょっととまどったが、どうやらMP4プレイヤーというのは、MPEG4動画ファイルの再生機能がついた携帯型プレイヤーのことらしい。BitTorrentを介して違法動画ファイルが大量流通する中国だからこその商品だと思ったが、いまだにMP5プレイヤーがどのようなものかは分かっていない。

新しいチャレンジ

さて、このように違法コピーの音楽ファイル、動画ファイルが大量流通する中国マーケットであるが、先日おもしろい会社の社長と話をする機会を持った。台湾の会社なのだが、中国大陸でお金を取って音楽ファイルを配信しようとチャレンジしているのだ。過去に中国文化圏で有料音楽配信を試みた会社は多数あったが、いずれも失敗に終わっている。先日自分が会った会社は、独特な仕組みを使って有料音楽配信を準備している。もともとこの社長は一度ファブレスチップの設計会社を起業、その会社を無事に上場まで漕ぎつけて、台湾国内では大成功者とみなされている。二度目の成功を目指した今回のターゲットは、チップ開発のようなハード分野ではなく、音楽配信のようなソフト分野であった。

中国の音楽配信環境

中国では有料音楽配信が普及しない理由は言わずもがなであるが、国内に大量の無料の違法音楽配信サイトがあり、それらのサイトが当局の取り締まりを逃れているからである。もともと無料で音楽ファイルが入手できるのに、お金を払うお人好しは普通はいないものである。では、無料音楽配信サイトにみな中国の音楽ユーザーは満足しているのであろうか?

この世界にフリーランチはない、とは良く言ったもので、無料音楽配信サイトから音楽ファイルをダウンロードするには、それなりのコストを払わねばならない。もちろん、現金、という意味でのコストは無料なのだが、見たくもない広告を強制的に表示させられ、常にウイルスと鉢合わせの環境におかれ、さらにファイルが一覧化されているわけではないので、欲しいファイルを探すためにかなりの時間がかかる、という各種コストが発生する。

もちろん中国の大半のユーザーにとっては、上記の各種コストは現金を支払うというコストを比べるとはるかに安いと感じるのだろうが、北京、上海の若い高給白領(給与が高いサラリーマン、OL)にとっては、お金を払ってでも欲しい音楽ファイルをすぐに入手したい、という欲求が発生しているのではないだろうか?という分析が、この社長の意見である。

ただ話はそれほど簡単なものではない。まずいくら大都市の高給サラリーマン、OLとはいえ、やはり無料のファイルが存在する中で、やはりお金は払いたくないものである。またもしかしたら一部の超高給サラリーマンならお金を払うことを気にしないかもしれない。しかし今度は課金も問題にぶつかってしまう。音楽ファイルの価格をクレジットカード課金をするほどの高額にしてしまっては売れるわけがないし、音楽ファイルの値段設定として手頃な価格範囲、例えば1年間10ドルで使い放題、などという安価な値段だと、プリペイドカードや携帯電話課金などがその役割を担うことになるが、そもそもめんどうくさいことをしたくないからお金を払ってもよいと考えている超高給サラリーマンが、めんどうくさい課金方法を選ぶとは思えない。

傾向と対策

以上のように状況は八方塞がりのように感じる。過去に中国において音楽課金が成功しなのは、全く不思議ではない気もする。このような八方塞がりの中で、この会社がやろうとしている課金方法は、MP3プレイヤー会社と組んで、MP3プレイヤーの店頭小売価格に音楽ファイル配信料を上乗せしてしまおう、という作戦である。1年間使い放題をいくらに価格設定するかは今後検討の余地があるのだろうが、せいぜいマックのハンバーガー10個分とかその程度だろう。そのコストをあらかじめMP3プレイヤーの価格に上乗せしてしまうのである。もちろん2年目はお金は取れなくなるが。MP3プレイヤーは技術進化が速く、新商品発売間隔が短い製品であるので、1年~2年で大半のユーザーがMP3プレイヤーを買い換える、と考えれば、多分大きな問題にはならないだろう。

最後に

社長から、この話を聞いたときには、直感的ではあるが、成功の可能性があるのではないか?と感じた。もちろん、中国マーケットはそれほど甘いものではないし、この会社の将来は誰にも分からない。ただ、楽しみな1社であるのは間違いない。ご興味ある方はぜひご連絡いただきたい。
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