キリン&サントリーの破談は今後の本邦M&Aの波にどう影響するだろうか。それにしても・・・個人的には実現して欲しかったぁ(苦笑)
いやあ、それにしても個人的には残念でした・・・
どちらも好きな2つのブランドが統合するとなると、まず興味は「1+1=1」なのか「1+1=2」なのか。評論家も少し発言があったようですが、どちらもいい商品もっているわけで下手に統合してどちらかの味を強く活かそうと志向しすぎるあまり、結果として大味な失敗作が大量投入されて市場は混乱し消費者は離れ、そして統合の企業はイニシアティブを失う・・・なんてリスクがないかと心配もあったわけです。
ですが、個人的にはどちらも存続する道を模索して欲しかった。
ということは結局、私みたい消費者の志向を尊重するM&Aのシナリオを描こうとしたとき、「ブランドと商品の存続」という両者の思惑が結局統合自体を無意味化してしまったのでしょうか。かたや一部上場、もう一方は徹底して非上場ですし、そのスタイルに対する双方の固執もあったんでしょう。
両者トップの会見をみていて、意外にも「さばさば」「晴れやか」な印象が強く、これじゃあ(ちょっと、試しに、やってみる?)みたいな勢いで今回の統合話ができちゃったのかなあと、かんぐりたくなくもなるくらい、非常にすっきりした感がありました。
まあ、実は統合話って、統合に真正面から向かう方が苦しみは大きいので(支援サービス提供者としての経験談の範囲で発言しています)、このくらいのスタンスの方がストレスは小さいんですけどね。
それにしても実現して欲しかった・・・最大手上場企業vs.それを追う第2位ただし非上場企業の統合。
お互いが上場企業で今回(おそらくそうだと推察しています)のように双方歩み寄って統合をスタートさせた場合は、デューデリ(株の統合比率算定等企業価値評価作業)は一般的には今回に比べて弾きやすく、よほどどちらかにバイアスをかけた監査法人のロジックを持ち込ませない限り(当然、これは大体にして違法です)、結果は通常は受け入れる以外ないはず、でも今回は片方が非上場ということで、株式の価値計算および上場株との比較ロジックが難しかったのでしょうか。まあ・・・それはありえるでしょう。
私の周辺では、一方が自身のデューデリ結果を持ち寄ってもう一方に統合をしかけるケースが割合は多いのではないかと思っています。が、これは短絡的に言ってしまえば「吸収合併」タイプですので、吸収する側がこの結果(買収額)を受け入れるか、あるいはそれに根拠を提示しそこから双方納得いくレベルまで割り引いた額で受け入れが成立するか、のシンプルなストーリーです。それに比べれば今回の難しさや複雑性は理解できるので、
ただ・・・統合プロセスが実際に開始されてから事実上の完了(Day1)において、是非そのLessons Learned(教訓)を学ばせてもらいたかったです。くどいですが上場企業vs.非上場企業の大手統合・・・
なかなか大きなM&A案件に参加させてもらう機会なんてそうそうありません。離れたところから観察させてもらえるだけでも結構糧があると思っています。ましてや今回のネームは双方インパクト充分。世界中の注目も集めていたと言って過言でないでしょう。
・・・それにしても、
やっと朝のワイドショーや夜のNEWSでも、朝青龍とかタイガーウッズとか社会・芸能系話題じゃないメインがやっときた!やっぱこうじゃなくっちゃ。
退職慰労金の減額だの愛人写真つきゴルフボールの販売に関するNEWSなんぞより、こういうビジネスニュースを横目でみながら支度を終えて会社へ向かいたいものです(笑)