M&A最近のトレンド(注:簡易的考察です^^;)
最近M&A絡みの依頼が多いです。あいかわらず、いや、他のタイプの案件の伸びはイマイチなんで、むしろポートフォリオ的には依存率が高まっているかもしれません。
M&Aといっても当社はM&Aを仕掛ける「プレ」の立場は(できないという意味じゃなくて)ほとんどなく、もっぱら「ポスト」です。ポストの場合はよくPMI(Post Merger Integration)といって、簡単に例示すれば企業の統合が形式上(法律上)成立したあとも、商品・サービスや、ビジネスプロセス、IT、人事その他ルールの統合や変革をしていくことが必要なわけで、その「あと」活動を支援するサービスの方が活況です。
非常に簡単に解説するといくつかにM&Aのタイプがわかれるのですが(注:かなり易しく意訳しますんで専門家の皆さん違和感があると思いますがゴメンナサイ)、昔は投資余力がしっかりある企業統合は
A+B=C
という、A社とB社が目指す新しい形(機能)の箱Cを作って旧A社とB社の機能を移し替えるケースも結構あったのですが、最近は、
A+B=A
という、基本完全にどちらかの会社に片寄する、
または、
(A+C)+(B+C)=A’+C
という、共同化機能をそれぞれから切り出して残りをほぼ片寄し、共同化機能で運用する。
さらには、
A+B(でおしまい、PMIなし)
みたいな、
とにかくつないで(ブリッジという)1つの企業体にはするけれど、統合はほとんどやらずに次のM&Aに備えるみたいな、昔欧米の金融機関がこの手法でM&Aを繰り返して急成長しているようなモデルを今実践しているケースもあるようです。
(注:概念的に言っており、厳密には統合や新機能移行がゼロというわけではありません)
バリエーションがこうして増えてきている気がします。どれがどちらが正しいという話でもなくて、その時に最良なM&Aを行えばいいだけです。それだけユーザ企業側に知恵も経験もたまってきており、我々コンサルファームが手を貸さずともM&Aの入口(Day1という)を迎えることはできるので、そのあとの完全統合(Day2という)では、
Day1以上に多数の人手がいる
多数多様なステークホルダー(関係各社)をマネジメントできるリーダーシップがほしい
次回のM&Aに備えてこの体験をきちんと自社内に伝承し醸成させたい
という思いで我々が購買されることが多くなってきたのではと推察しています。
私が見渡せる範囲ではありますが、まだまだ日本はA+B=A
で割り切れる企業M&Aと、(A+C)+(B+C)=A’+C、もしくはいろいろな事情で片寄したくないため、A+B(でおしまい、PMIなし)もいいとこどりし(たつもりで)、
(A+C)+(B+C)=A’+B‘+C
みたいなさらに冗長な計画を志向される企業もあるようですから、なかなか日本の企業文化や競合他社との融合嫌いはなかなか大変です。
欧米だってそんな問題はもちろんあるわけですが、M&Aプランのオプション選びはそもそも冗長な計画になるくらいなら経営TOPも株主も黙っちゃいないわけで、M&A自体が成立しませんから、やっぱりいろいろ違いますね。弊社だってM&Aを何度か繰り返して今に至っています。
特にITの場合、本当に次のM&Aをにらむのであればしばらく(ITを)A+Bのままにしておくのは一策ですし、あるいは複数回のM&Aをにらんで一度(A+C)+(B+C)=A’+CにしてCを汎用的に複数社取り込める形に構築しておくとか、そういう手法も志向可能です。予算的にA+B=Cがないなら、そして政治的にA+B=Aがないなら、中途半端にA‘やB’を誕生させることはありません。
ただ、悩ましいのは、IT(部門)としては、ただブリッジだけじゃ芸がないから技術力の誇示のような意味合いも含ませてA‘やB’を誕生させるPMIが計画されることは残念ながら可能性としてあり得ます。そしてその投資のおかげで我々コンサルファームへの仕事依頼へつながることも否定できません。残念ながら・・・
でも、本来の仕事目的に立ちかえると、そのような支出をおさえる、計画を是正することこそ我々「Consultancy」の役目でもあるのです。そのような思考を、クライアントへ一貫してメッセージしていける業界、そして自分でありたいな、と思う今日この頃です
(まあ、仕事はもちろんほしいんですけどね・・・苦笑)
(注:数式が四則演算的にはおかしい表現になっていることは承知していますが概念的に説明したくてのことですのでご理解いただければ幸いです)