「とうもろこしのヒゲも食べれるゼ」
好きな日本料理?えーっと・・・
「サンマ!!」
もちろん、塩焼きです。
九州育ち、子供の頃はイワシが結構安かった。マグロは赤身でも高級品、当時は
イワシ、サバ、アジ、サンマ、
の順に安く手に入ったような気がします。
これらは聞いた話では周期的に取れ高が変わるので順位は変わるようで、最近帰省するとイワシが一番高かったりするときも・・・
とにかく、子供の頃そうだったので・・・僕にとっては、サンマはごちそうでした。
ひょっとしたらタチウオの方が安かったかも・・・(ちょっと記憶に自信ありません)
お昼、定食屋でサンマがあると必ず注文します。
そして、
旨かったときはとってもHAPPY。午後はとってもいー気分。
でもたまに・・・
不味い・・・不味すぎる。
痩せてる。アブラはのってない、目が死んでる(えーっと、魚自体死んでますけど・・・イメージ的に・・・笑)、明らかに鮮度が悪い。
そんなものを口にしたとき、その後、午後は最低。超ブルーです。
ふと、飲食店で働いていたときを思い出しました。
ある店にいて、そこは、大木さんのエントリに紹介されている店のレベルにはさすがに悪くなっていませんでしたが、正直ひどい経営でした(この店も最終的には潰れました)。
ただ、「使いまわし」とは違う次元の、非常に貴重な体験をしました。
働いていてしばらくして、あまりに業績がひどかったのか、(小規模チェーン店だったので)店長さんが代わったのです。
それまでは、みんなやる気がなくて、だらだらテキトー、ヒマになったらタバコをモクモク。配膳もサービス悪いし、食べ物も技術も素材も問題だらけ。でも当時の若い自分には文句言う権限なし。給料もらえないと生きて行けないし・・・そんなとき、新しい店長になったのです。
少し経って、誰もがうなる効果が、はっきり、みえたのです。
「ゴミが半分以上に減ったのです」
それは・・・第一に、
「食べ残しがほとんどない!!」
からなのです。
つまり、おいしい!みんな食べてくれるんです。残らない。回収したお皿がどれもきれい。口直しやツマ、パセリまでみんな食べられてる。見事なもんです。
店長が代わると、仕入先も変わりました。コスト的には多分ほとんど変わりないはずなのですが、明らかにその人は目利きのレベルが段違いで、明らかに状態の良い素材が納入されるようになりました。
そして、無駄がない!!
素材は限界まできちんと使われます。大根の葉はもちろん、とうもろこしのヒゲまで賄いで食べました。
しかも、・・・意外に旨い。
「素材がいいからな、食べれるんだよ。皮や芯は燃やして何か炙って食べればゴミにならないし、ヒゲは鮮度がいいもののは意外に甘くて旨いだろ?!」
ハイ!店長!!
店員はすっかりものすごいサービスレベルに向上しました。
食べ残しがないので板さん達はまったく異なるやる気で仕事をするようになり、ホールもお客さんが満足そうだからと思いますが、とても楽しそう。
「その魚な、それでも間違ってないけど、こう、こうやってさばくとな・・・ほら、もっと旨いだろ?」
店長に指導され、板さん達の技術は向上し、みるみるうちに同じメニューが美味しいものへ変貌していったのです(店長さんは見事な建て直しのあと、次の問題店舗へ異動していかれましたが・・・)。
思えば、あのとき、サービス業に目覚めたんだろうなあ。
例の件は、そもそも食べ残し、手付かずが発生する時点で、調理技術、素材、サービスレベルの全てにおいて失格だと私は思います。
昨夕、会食しながらその話題になったので、この話をふと思い出した次第です。
(あのSUPER店長さん、元気かなあ・・・)