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「消費者」金融の存在意義が危ない!?

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「貸金業法成立、上限金利3年後20%に」・・・え、ちょっと待って!これって消費者金融のみならず個人消費性ローンのビジネスモデルが金融業界全体で変わるだと思います!?

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20061213AT2C1204Q13122006.html

 消費者金融など貸金業者を規制する貸金業法案が13日午前の参院本会議で可決、成立した。グレーゾーン(灰色)金利の廃止や上限金利の引き下げ、貸付総額規制の導入などが柱で、利用者が多重債務に陥るのを未然に防ぐ狙い。2009年末にも完全施行する。

 同法案は約3年後に出資法の上限金利を現行の年29.2%から20%に引き下げる。利息制限法の上限金利(1520%)を超える貸し付けを禁じ、出資法と利息制限法の上限金利で挟まれた灰色金利による貸し付けをなくす。貸金業者からの借入総額が年収の3分の1を超える貸し付けも原則として禁止し、多重債務の元凶にもなっている「貸し過ぎ」を防ぐ。

 貸金業者の登録要件である最低純資産額は、現行の300万―500万円から5000万円に引き上げ、悪質業者の参入を抑制する。無登録のヤミ金融業者に対しては懲役刑を最長5年から最長10年にするなど刑事罰を強化する。

まさにここは私の本業領域なんですが、今はローン商品の種類と金利が非常に複雑になってきていまして、実は整理が意外に難しい(言い訳半分・・・)。

はじめに、本来の商品分類と特性を基本に整理します。

l         消費者金融の金利は従来29.2%でしたが上述の取り組みの影響から最近は1425%にシフト中。闇金じゃなくて街金だと40%前後。

l         クレジットカード、信販会社のリボルビングローンは1827%程度、ちなみに百貨店系列のクレジットカードローンが相対的に高め。これは学生や若手会社員が加入しやすくなっているため、限度額は低く、金利は高く、というリスク設計。

l         銀行のカードローンは9%15%程度が多い。冠婚葬祭や自動車購入等の目的固定型やおまとめローン(複数借入先をこのローン借入金で完済し債務を一本化する)が比較的金利が安い。

l         さらに最近クレジットカード会社、銀行等は200300万円を限度額にしたVIPローン商品を投入。これらは8%13%前後に設定されているものが多い。

l         ちなみに消費者金融・街金の金利計算は日割ですが、銀行やカード系は月割計算です。あ、ちなみにこれらは全て無担保商品に限定して言及してます。

ですから鋭い方はここでお気づきと思いますが、金利の面からみると、消費者金融がものすごい悪徳といわれる筋合いは元から存在しないのです。

確かに債務延滞者の取立てはメディアで言われているようなキツいものがある程度の割合存在しますし、そのような取立てはカード系や銀行では殆どないといってよいでしょう。

もっとも債権回収代行業(サービサー)や保証代行なるものがこの世に存在し、これらは消費者金融がバックボーンになっていて、どのような金融サービス業でもそれを(もちろん有償で)利用できる時代、キツい「取立て」はどの商品を利用したところで、延滞常習者になればどっちみち遭遇するんです。

与信の審査レベルは、銀行の方がハードルは高く、消費者金融の方が低い。ところがこれが金利と最近連動しないわけです。上述の通り、現在はどの業態も金利に幅を持たせ、顧客のリスクレベルで金利をコントロールして設定するようにしている。

銀行で与信が通らない=借りれない人が消費者金融に流れていく=だから消費者金融が金利が高い。

とか思っている方が多いと思いますが、金利だけ考えれば、すぐに返せるあてがある場合、実は銀行系クレジットカードでリボルビングローンを利用して借りるより、消費者金融で借りた方が返済利息は日割で安く済ませることもできるんです。

どうも消費者金融に悪いイメージが必要以上についていると思うんですね。

銀行で借りれないから消費者金融で借りる。

小生も先物取引で失敗して、預金をはたいても足りず、銀行が追証に必要な額を貸してくれないので、超特急で資金繰りするために消費者金融で借りたことがあります。

別に、「普通に返すんだったら」悪いサービスなんて一切ないですよ。

銀行の方がよっぽどサービス悪いです。汎用的に言うと。

(真面目に働いておられる銀行の方々には申し訳ないですが。でも小生は当時そう感じたので)

小生、消費者金融の関係者では決してありませんけど。

でも、「消費者」金融なのに、必要以上に悪者扱いされている気がして仕方ありません。

多重債務者ってほとんどが自分の意思で最初に借りて、返せなくなって、多重化してるんですが、基本的に債務が発生した原因が遊興費の割合は結構多いし、借りたあともこの悪癖が抜け切れなくて多重化するきっかけになる割合も多いんです。

追い込み⇒自殺、というトリガーが必要以上に悪のイメージをバイアスしていますが、金融機関のコンサルティングを手がけて17年、私は消費者金融がここまで悪く言われるのはどうかと思っています。

・・・しかし、

20%になると、銀行はまあいいとして(銀行法vs貸金業法ですから)、カード系も商品設計全面的見直しになるのではないかなと思います。だから消費者金融はかなり深読みして数年度の商品・サービス設計をしなければならない。

つまり、結局消費者金融のターゲットビジネス・ターゲットクライアントに銀行やカード業界が侵入してきます。これは消費者金融業界にとって重大なことです。

預金が貸出金の源泉である銀行とはまともに太刀打ちはできない。住宅ローンだって金額が金額ですから、そう簡単に消費者金融では扱えるようにはならないです(カード会社だってそうですから)。同じような利率で勝負するのは消費者金融の方が体力的にきついはずです。そもそも編成能力のリスクを高くみているので、延滞等「焦げ付き」の回収リスク分を相場的に乗せづらくなっていくのは、源泉は外部から借り入れが基本の消費者金融には、経営的にキツい。

基本審査能力は消費者向けなら消費者金融の方が優れていると思います。これは実際顧客となったその経験からそう感じています。ですが都銀・地銀はいいとして、信金、信組あたりになると、その能力さは最近かなり均衡してきていますので余談は許されない。

でもって、カードビジネスという目でみたときには、そもそもクレジットカード会社にブランド力で勝てるわけもない。

タレントを使ってCMやっても、「清いイメージ出しすぎ」と批判される。・・・そもそもデフォルトが汚い業界じゃないと思うんですが・・・!!

確かに前半でも述べた通り、あまりにひどい業者もいます。闇金だけじゃあない、通称「トイチ(都1)」、確かに彼らの大半はひどい手口です(ちなみにひどくないトイチさん世の中にいるんでしょうか。いたら是非コメント寄せてください)。

私は仕事柄、大抵その業界業態のユーザーになって実際に商品やサービスを体験して評価するようにしています。

消費者金融の貢献は、本当は大きいのです。

     個人消費性ローンがTV-CMで宣伝できるようになった。こんな流れがなかったら有名女優使ったカードローンなんて宣伝できる時代はまだまだ先になっていたはず。

     「無人契約機」による集中受付管理システムが登場。後の銀行ACMへ発展。窓口に行かなくてもできるサービスが当時の銀行ATM以上にIT化可能であることを証明。現在の公共料金納付や通帳切り替え等のATM対象サービス拡大トリガーの1つになっている。

     「多重債務者の尊命」を国民的話題に押し上げた。従来は銀行が融資してくれないから中小企業が高金利ローン会社に頼り結局破産⇒自殺という話が結構あっても、なかなかメディアがとりあげなかったが、対象が個人に移行したので、あっという間にトップストーリーの仲間入り。不謹慎と思われるかもしれませんが、もとから中小企業も個人も破産や自殺という事象は結構あったのですし、自殺=借金苦じゃなくて、今はいじめによる自殺の方が重大テーマ。むしろ借金に苦しむ人が社会から救済される仕組みを誘発したとも言える。もちろん悪い業者が弱者をむさぼることもあったわけではあるけれども。

実は意外と金融サービス業界におけるIT化推進、サービス向上等にかなり貢献してるんです。

これら整理してみているうちに、今後消費者金融は一層の経営統合、特にカード・信販会社やひょっとしたら銀行業との統合等によって、生き残りを図らねばならない時代にきつつある気がしてきました。

変な話、「多重債務」なんですから同業合併すると、名寄せ後に顧客あたりの与信枠が増大せざえを得ない特殊な業界です。だから単なる同業合併はあまりリスクヘッジにならない。

実際、いくつかの消費者金融は廃業・売却・新業態への展開に向けて真剣な検討をしています(守秘義務によりこれ以上コメントできません)。

頑張れ消費者金融業界!!

(あれ・・・応援してしまった。。。)

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