スマートハウスは幸せになれるのか
スマートフォン、スマートデバイスどなどスマート何々という言葉ばかりが先行し、電車の中では本を読む人が減り、自宅の電話が鳴ることは減り、個々人の携帯だけで通話、あるいはメッセージをやり取りしている人が、自分を含めて急増しているわけですが、そもそもスマート何々で「幸せになれるのか」という疑問を、僕は常に感じています。当社のお客様にも、便利になると同時に、きちんと成果が出ることを念頭に置いて仕事をしています。
そんな中で、オルタナティブブロガーの成迫さんから東京工科大学にあるスマートハウスの実習棟を見学させていただくイベントに呼んでいただきました。その後、グループに分かれてディスカッションをして、そこでも話題になったのが「それで何が良くなるのか」ということでした。
スマートフォンを快適に使いこなし、パソコンはタッチタイピングで猛烈なスピードで入力することができ、ありとあらゆるガジェットを持ち、車は電動自動車を使っている人は、その反対側にいる人、つまりフィーチャーフォン(ガラケー)を持ち、あるいは携帯電話すら持たず、パソコンも使わず、家電は普通にテレビ、冷蔵庫、洗濯機と掃除機だけを持ち、お風呂はガスで調理もガス。そんな人より何が良くなっていて、幸せを感じているのか、ということなんですね。
僕たちのグループでは、若手夫婦に3歳児がいる家庭、ご主人は家で飲食店を営み、奥さんは会社員で管理職として走り回っている家庭をペルソナとして想定しました。ご主人が毎日築地に仕入れに行っているところを、オンラインで注文できるようにし、冷蔵庫は開けなくても中身を教えてくれて、お店で使うお通しの提案までしてくれる。床が汚れていたらルンバのような掃除機が勝手に動き出し、飲食店の天敵である害虫はセンサーが完治し、ロボットが駆除してくれる。トイレは3歳児が一人で入ってきても便座の蓋が開かず、お父さんと一緒に来れば開く。(水や洗浄薬の誤飲防止)
そうやって人間がラクになるのは、家族、子どもとのコミュニケーションの時間を増やすため、というのが僕たちの目的でした。コミュニケーションをツールに頼ることは悪くないけれど、無くてはいけない、むしろ他で時間を節約したことで、コミュニケーションを増やさない、というのが僕たちの結論だったんです。それは、他のグループで議論された方からも、同じような議論があったことを伺いました。
スマートハウスも一つの端末として認識していいと思いますが、オール電化になることで何が良くなるのか、を考えながら、自分の家を見つめなおしてみたいと感じるイベントでした。
機会を与えてくださった東京工科大学の澤谷由里子先生をはじめ、主催されたみなさま、ありがとうございました。