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中森明夫さんと荻上チキさんの『アナと雪の女王』の解釈

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『アナと雪の女王』が大ヒットしていて、
ネット上にも感想や解釈がいろいろ出ていますが、
最近出てきたアイドル評論家の中森明夫さんと
評論家の荻上チキさんの解釈の記事を興味深く読みました。
それぞれ、一部を引用します。

さて、ここで私独自の見解を明らかにしよう。『アナと雪の女王』は、真実の愛=姉妹の愛を訴えた映画では、ない。雪の女王エルサと妹アナは、見かけは姉妹だが、実は一人の女の内にある二つの人格なのだ。あらゆる女性の内にエルサとアナは共存している。雪の女王とは何か? 自らの能力を制御なく発揮する女のことだ。幼い頃、思いきり能力を発揮した女たちは、ある日、「そんなことは女の子らしくないからやめなさい」と禁止される。傷ついた彼女らは、自らの能力(=魔力)を封印して、凡庸な少女アナとして生きるしかない。王子様を待つことだけを強いられる。それでも制御なく能力を発揮したら? たちまち魔女と指弾され、共同体を追放される憂き目に会うだろう。
(中略)
『レット・イット・ゴー』=『ありのままで』は世界中で唄われて、21世紀が生んだスタンダードナンバーとなった。『マイ・ウェイ』や『イエスタデイ』、あるいは『インターナショナル』のように。しかし、どうだろう。『ありのままで』という歌が大ヒットして、これほど世界中で唄われているのは、多く人々が「ありのままで」生きていないからではないか? 「ありのままで」生きていない人々こそが『ありのままで』を唄うことで、一時、精神的に解法される。なんとも皮肉なことだ。

「REAL-JAPAN ≫ 「中央公論」掲載拒否! 中森明夫の『アナと雪の女王』独自解釈」より

『アナと雪の女王』のテーマは、異質であるものとの共生、調和です。 この映画のストーリーは、まず特殊な能力を生まれ持ち、いい子でいなくてはならないという圧力から、それを隠していたエルサがそれを解放し、ありのままの自分を受け入れ(Let it go)、そんな能力を持っていても受け入れ歩み寄るアナ、さらには社会が受けいれるという三段階の構造になっています。

ここで、チキさんは「Let it go」の日本語版と、英語版との違いに注目しています。具体的には日本語版は、単なる「自己啓発」になっていると指摘します。自分も英語版と、日本語版の歌詞を比較をしてみました。確かに、英語版では過去への言及が多く「過去を乗り越えてやる」という意志表明である一方で、日本語版は解放することによって「来るであろう素敵な未来」について歌っています。

「荻上チキさんの「アナ雪」評が決定版過ぎる!! - とりあえずのブログ。」より

ぼく自身は、5月にロサンゼルスへ行って、戻ってくる飛行機の中で
英語版を英語字幕付きにして『アナと雪の女王』を見ましたが、
『Let it go~ありのままで~』で、エリサが秘めていた能力を発揮するときの場面で
はんぱない解放感が素晴らしく表現されていて、気持ちよく感じました。

中森さんが書いているように、家庭や職場、社会でいろいろな制約を受け
抑圧感を感じている女性にとっては、より訴えるものがあり、
だから大ヒットにつながったのだろうなと思っています。。

そして、その抑圧感から逃れて、
自分の能力を解放して行動力を発揮している一例が、
昨日のブログで書いた「すごいお母さん」なのだなと。

日本を元気にするために重要なポイントの一つは、
女性が社会の中でもっと力を発揮していくことだと思っていますが、
『アナと雪の女王』を見て、単にストレスを解消するだけでなく、
「すごいお母さん」のように、もっと行動を起こしていってほしいなと思います。
もちろん男性も負けずにがんばらないといけないですが。

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