グッドエイジャー賞受賞者の田中健さんの話を聞いて「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」を思い出した
知り合いの方に誘っていただき、
先週の金曜日に渋谷ヒカリエのイベントホールで開催された
第10回グッドエイジャー賞発表・授賞式を見に行ってきました。
一般社団法人日本メンズファッション協会が主催していて、
10年前から、長寿時代を豊かに活き活きと過ごそうという
「グッドエイジング運動」を立ち上げ、
その一環として、年齢を重ねても人生を楽しみ、
これから先もいろいろなことに挑戦してみようという
バイタリティにあふれる方々を表彰してきたそうです。
私自身はこの運動と賞のことは今回初めて知りました。
第10回の受賞者は、ファッションデザイナーのコシノヒロコさん、
98歳でも現役で活躍されているフォトジャーナリストの笹本恒子さん、
俳優・ケーナ奏者の田中健さんの3人。
もちろん3人とも会場にいらっしゃって、
コシノヒロコさんのパワフルさと、笹本さんの上品さが印象に残りましたが、
個人的には、田中健さんが一番印象的でした。
田中健さんというと、ドラマ『俺たちの旅』の印象が強くて、
それ以後の活動についてはよく知らなかったのですが、
ケーナ奏者としても活動されているのですね。
1983年に南米旅行しているときにケーナと出会い、
90年にケーナ奏者としてデビューして、
アルバムを5枚リリースしているそうです。
この日も「コンドルは飛んでいく」と「ふるさと」の演奏を披露されました。
驚いたのは、ケーナの練習をずっと独学でやっていたということ。
遠回りだったけど、そのほうがたぶんよかったのではないかと話していました。
この話を聞いていて思い出したのが、
灘校の伝説の国語教師として有名な橋本武さんの
「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」という言葉。
この言葉については、以前にもこのブログで書きました。
「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」伝説の灘校教師の教え
現代はいろいろな知識や情報、ノウハウなどを簡単に得られるし、
その道の先人も見つけやすいので、
何でもわりと簡単に身につけて役に立てることができるけど、
結局そうやって簡単に身につけたものは、
すぐに役立たなくなってしまうということです。
ウェブサービスなどで、アイデアが目をひき、
コンテストで賞をとって注目を集めたけど
始めてから数ヶ月でサービスを終了してしまうといったケースは、
このパターンに近いような気がします。
遠回りをして、失敗や挫折を経験し、試行錯誤しながらでも、
時間をかけて、自分でじっくりと考え、行動しながら身につけたものこそ
自分にとっての本当の力になるのだと思います。
そういう意味で、長期的な視点を持ち、粘り強くやることは重要ですね。