原発をゼロにすることで、日本経済を活性化できる
原発はリスクではなくでデンジャーだということを書こうと思ったら、ちょうど内田樹さんが書いてらっしゃいました。
リスクとデンジャーは、日本語では両方とも「危険」ですが、リスクというのは計算できる危険であり、コントロールやマネージすることができるし、「リスクをとる」ことができます。一方、デンジャーは、人の計算を越える危険であり、コントロールやマネージをすることはできず、とってはいけないものです。たとえば、大地震は起きることを予測して備えることはできても、どれほどの被害が出るかを人間がコントロールすることはほとんどできません。
原発事故についても、福島原発事故が1年以上たってもまだ収束せず、それどころか、廃炉できるまで何十年もかかり、使用済み核燃料への対処や、除染、被害補償、その他の費用を考えたら、どれぐらいかかるかわからない状況です。
原発は運転が止まっていても、放射性反応は続いているわけですから、デンジャーであることには変わりません。デンジャーをなくすためには、原発自体をなくすしかありません。そのためには、できるだけ早く廃炉を進めていく必要があります。
ここ数日は猛暑が続いていますが、全国の電気使用状況を見ていたところでは、暑さがピークの14時、15時ぐらいでも、使用率は90%をちょっと超えるかどうかぐらいで、原発を再稼働しなくても電気が足りていたことはほぼ明白です。電気会社の努力と、みんなの節電の努力があれば、原発はなくても大丈夫だということです。
電気会社が原発を動かそうとするのは、動かさないと原発が何もお金を生まない単なる負債になってしまい、経営が厳しくなるからです。原発はデンジャーであり、お金の原理で考えるべきではありません。お金がかかるからと十分な安全対策をせずに動かすようなことはあってはならないはずです。そもそもデンジャーであるものを、営利会社が運営すること自体が間違っています。
ですから、まずは原発を全部国の管理下におくべきだと考えます。原発を廃炉にしていくための国営会社をつくって、そこが原発を全部買い取り、しゅくしゅくと廃炉を進めていくしかないのではないかと思います。もちろん、その負担は、国民が担う必要が出てきます。今まで原発でデンジャーであることを見逃してきたわけですから、国民みんなで負担することは当然です。
ただ、いち早く廃炉を進め、使用済み核燃料の処理の方法や、できるだけ安く廃炉する方法などを開発できれば、今後ほかの国にある原発の廃炉を請け負うようなビジネスができるかもしれず、負担を軽減できるかもしれません。
原発を使わないことで、電気供給が不安定になり、電気料金が上昇して日本経済に悪影響を与えることを懸念する声もありますが、現時点でもともと54基あった原発が1基しか動いていない状況で、1年間で一番電気を使う時期になっても、計画停電もせずに電気が足りている現実を見れば、電気供給に関しては大きな問題はないはずです。
逆に、ちょっと足りないかもしれないというぐらいの状況のほうが、エネルギー問題を解決していくためのモチベーションが上がり、再生可能エネルギーや、省エネ、日本近海にあると言われるオイルシェールやメタンハイドレートの活用などのイノベーションが進み、日本経済が活性化していく可能性が強いのではないかと思っています。
日本経済は、今までにもオイルショックや、プラザ合意による円高などの危機に直面してきましたが、そのたびに危機を乗り越え、逆に体質が強くなりました。人でも会社でも、逆境に挑み、乗り越えることで、力をつけていくことができます。日本経済も、原発をゼロにすることで、イノベーションを生み出し、エネルギー危機を乗り越え、エネルギー問題にびくともしないような体質をつけることができると信じています。
原発維持派や推進派の人たちが、よく反原発派の人たちに対案を出せといってますが、現時点での対案のつもりで、原発に対する考えを簡単にまとめてみました。もちろん私は原発の専門家でも、政治家でもないので、不備な点やおかしな点はあるでしょうし、こんなのは対案になっていないという方もいるでしょう。ぜひどこが不備なのか、どこかおかしいかなど、みなさんのご意見をうかがえればと思います。