コンテンツとコンテキスト
昨日、私が代表を務める一旗会Japanの会合で、『豆腐バカ 世界に挑む』の著者の雲田康夫さんを迎えて、「起業するならバカになれ!」というテーマで話をしていただきました。予定をオーバーする2時間ぐらいの熱演で、いつもより多い参加者の方々も真剣に聞き入ってらっしゃいました。
雲田康夫さんは、アメリカ人の嫌いな食べ物ナンバー1だった豆腐をアメリカに売り込むために、森永乳業の米国法人の社長として赴任した方です。車のナンバーを「TOFU A」に替えてアメリカ人の反応を見たり、ロサンゼルスマラソンに豆腐の着ぐるみを着て参加したり、豆腐シェイクなどのオリジナルメニューをつくったりなどの試行錯誤を繰り返しながらも、紙パックの豆腐を欧米に普及させ、2008年には第3回日本食海外普及功労者表彰事業農林水産大臣賞を受賞されました。現在は森永乳業を退職し、Super Frec U.S.A., INC.のCEOとして今度はアメリカにしらたきをノーカロリーの“ミラクルヌードル”として売りこむことにチャレンジしつつ、中京大学客員教授として、学生に起業や経営について教えたり、日本全国で公演活動をされたりしています。
私は『豆腐バカ 世界に挑む』を出版プロデュースしているので、雲田さんがスピーチで話されたことは、もちろんほとんど知っているのですが、それでも直に本人から話を聞くのは、本で読むのとは違ったインパクトや感動がありました。
帰りの電車の中で、佐々木俊尚さんの『キュレーションの時代』の電子書籍を読みなおしていたのですが、コンテンツとコンテキスト(文脈)について論じているところを読んでいて、ふと、セミナーなどで話を聞くときに、本の内容と同じような話であっても、また違った感動や面白さがある理由が腑に落ちた気がしました。それは、本の内容というコンテンツに、その人の口調や息遣い、しぐさ、間、聴いている人たちの反応といった、人がつくりだすコンテキストが加わっているからなのだなと。
『キュレーションの時代』の感想は、また改めてまとめてみたいと思っていますが、これからはコンテンツだけではなく、そのコンテンツに人が加えていくコンテキストがより重要になってくるのは確かだと思います。