シリコンバレー見聞録―その3 人気のコワーキングスペースWeWork
短期間ではありますが、米国のシリコンバレーに行ってきました。まさにデジタルビジネスやオープン・サービス・イノベーションのメッカということもあり、ハードスケジュールでしたが刺激的かつ興味深い体験ができました。折角なのでこのコーナで少々連載したいと思います。
UBERやAirbnbは、日本でもシェアリングエコノミーの代表企業として有名ですが、NY発祥のWeWorkは、ご存知でしょうか?
《オープンなWeWorkの貸しオフィスのホール》
「WeWork」は、起業家たちに貸しオフィスを時間単位で提供しているニューヨークのスタートアップ企業です。アメリカ(ニューヨーク、サンフランシスコなど19都市)、オーストラリア(シドニー)、カナダ(モントリオール)、中国(北京、上海)、ドイツ(ベルリン)、フランス(パリ)、イギリス(ロンドン)、香港、イスラエル(3都市)、大韓民国(ソウル)、メキシコ(メキシコシティ)、オランダ(アムステルダム)といった全世界で展開中です。日本に未だないのが残念。
以前から気になっていましたが、今回初めてサンフランシスコにあるWeWorkにお邪魔することができました。
《左:Raspberry Piも会員 中央:電話会議ブース 右:イノベーション必需品》
シェアリングエコノミーのもう1つの"雄"
『The Wall Street Journal』(WSJ)紙によると「Uberが車を、Airbnbがアパートを必要とするように、うちはオフィススペースを必要としています」とWeWorkの共同創設者のアダム・ノイマン氏。
WeWorkの面白いところは、彼らのテナントに入居する様々な業種のベンチャー企業にリアルとバーチャルの共創のキッカケとなる"場(ba)"を提供しているところです。
会員になると、毎週開かれるパーティーで人脈を拡げることができます。
《左:様々なイベント 中央:優しいスタッフ 右:MSとのコラボ》
会員企業が自分たちのアイデアを売り込む「デモ・デイ」も頻繁に開催され、ベンチャー企業同士のネットワーキングや外部のWeWorkとの連携企業からアドバイスをもらえます。
さらに、WeWork Commonsと呼ばれる独自のSNSを立ち上げています。
このサービスはビジネスに特化したSNSで、主に事業を起こしたばかりの人々に的を絞っているのが特徴です。
会員には、各地に展開するオフィスの予約機能や、各種サービスの割引、ローカルイべントの紹介などの特典を提供しています。
MicrosoftがWeWorkと提携
今秋、MicrosoftとWeWorkが提携を発表しました。この提携は、WeWork利用者がMS Officeを利用できるようにするための契約かと思いきや、既にそのパートナーシップは締結されており、今回はなんとMicrosoftの300人のグローバルセールス並びにマーケティングチームが、マンハッタンにある全てのWeWorkのオフィス、コミュニティ、そしてサービスを利用できるようになるというものらしい。パートナシップの名称は、「City as a Campus」という。
この新しいパートナーシップの一環として、MicrosoftがWeWorkコミュニティ内で新しい製品やサービスをテストすることも含まれている模様。
サンフランシスコから車で1時間程度のサニーベールにいる友達もサテライトオフィス的にサンフランシスコのWeWorkを利用していると言っていた。自社のオフィスではなく、このような形態でのサテライト化がデジタル化の波に乗って進むかもしれません。
デジタル時代の組織運営・働き方
デジタルテクノロジーは、さまざまな変革をもたらす。ITR内山氏によると、コマツのコムトラックスを代表するような「社会・産業のデジタル化」では、ICTは、情シス部門に加えて現場の事業部門で活用する時代を示唆する。「顧客との関係のデジタル化」ではデジタルマーケティングに代表される顧客との新たな関係性がデジタルテクノロジーで可能となる。そして「組織運営・働き方」では、単にモバイルで社外からアクセスといったレベルではなく、社内はもちろん社外のパートナーとの社内外混成チームでの情報共有が要になる。
Microsoftの300人のグローバルセールス並びにマーケティングチームが、WeWorkのオフィス、コミュニティ、そしてサービスを利用するのは同社の壮大な「組織運営・働き方」の実験とみることもできます。
日本でもそろそろこのような働き方の実証実験を進める時かもしれませんね。
(つづく)