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サービス化時代の潮流、ビジネスモデルを探る。週末はクワッチ三昧!

サービス化の進展 〜サービス業の進化 ヘアカット専門店に見るサービス細分化 〜

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 『へアカットだけでいいのでは?』とは、QBハウスが世の中に提案した新しい価値基準。「QBハウス」は、「約10分の短時間」「料金1,000円」でヘアカットを行う専門店。1996年11月に東京都千代田区神田美土代町に1号店をオープンして以来、全国各地に店舗を展開しており、最近ではアジア各国へ進出している。
 既に年間1500万人もの方が利用されており、1998年度ニュービジネス大賞および1998年度ASIAN INNOVATION AWARDS受賞している。社名・店名の「QB」は、アメリカンフットボールのクォーターバックに由来するとか。
 このQBハウスグループが掲げるコンセプトは、以下の5つに集約される。
《お客様と共創した“5つのお手軽さ”》
  • 低価格(ロープライス)
  • 短時間(スピード)
  • 高便利性(コンビニエンス)
  • ヘアカットのみ(シンプル)
  • 予約なし(フリー)
 既に店舗ブランドがライフスタイル別に4つもあるとは知らなかった。
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  • QBハウス(国内:461店舗 / 海外:77店舗)
 「手軽にリーズナブルにヘアカットだけをしてくれるお店があったら、自分の時間とお金をもっと有効に使える!」というアイデアから、お客様が本当に求めているヘアカットサービスをどこよりも早く、安く、提供できるようにカット以外のプロセスの簡略化と、スタイリストが無駄なく、効率的にお客様にサービスを提供できるように店舗が設計されている。ヨットのキャビンを参考に店舗内の各設備を設計、あらゆる無駄を省く工夫を重ねてきたらしい。「世界で求められるサービス」として、国内だけではなく、海外でも香港・シンガポールなどにも店舗を展開している。
《最近のQBハウスはオシャレ》
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  • キャトルボーテ(国内:1店舗 )
 都会的でアクティブな女性をイメージし、忙しく時間のない女性をターゲットとしている。QBグループの店舗ブランドの中で唯一メニューの選択が可能。カット&スタイリングで2,100円のワンメニューだけではなく、前髪カットで735円や、スタイリング(巻き髪やストレートスタイルなどのダウンスタイル)のみで1,575円など、複数メニューを取り揃えている。一般サロンと違い、面倒な予約もないので、思い立ったら行けるのも便利。カット&スタイリングを20分で仕上げる。オープン当初は、ほとんどが女性客だったが、徐々に男性のお客様が増え、現在は2割程度が男性客らしい。
《ファッション感度の高い女性の集まるマルイに出店中》
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  • イッカ(国内:1店舗 )
 『家族でヘアカットにでかけよう』をキーワードに、子育て世代の親子を中心として、子供からお年寄りまで家族みんなで利用できるカットサロン。ブランド名は家族を意味する「一家」でもあり、休日に公園や動物園にでかけるように、親子で髪を切りに行ってもらいたいという思いから、家族のためのヘアカットスペースを提供している。
店舗は誰もが気軽に来店することができ、楽しいひと時が過ごせる空間を目指している。すべてのカットスペースが個室のように利用でき、子供とゆっくりカットすることも可能。
《埼玉県熊谷市にあるイーサイト籠原内にあるイッカ》
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  • ファス(国内:1店舗 / 海外:2店舗)
 既存の「QBハウス」や「キャトルボーテ」のコンセプトである“お手軽さ(リーズナブル・予約不要)”はそのままに、『Fast Salon for Slow Life』という新しいコンセプトのもと、20~40代の男女をメインターゲットにしたサロン。店舗内装はインテリア家具などを扱うIDEEが手がけ、「やさしい家」をテーマに温もりの感じられる空間となっている。カット&スタイリングのメインメニューを中心に、「前髪だけカット」「スタイリングだけ」など、ニーズに合わせたメニューも取り揃えている。
《Fass中目黒店。9月13日にはアトレヴィ大塚にもオープン》
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 個人的には、シャンプーやひげ剃り、マッサージなどに理髪店の魅力を感じていることから今まで利用したことはない。ただし生活者の価値観の変化やライフスタイルの多様化に対応したサービスということで今後も拡大する可能性があると思われる。
 やはり、サービスの基本は、サービスで提供する価値を見える化すること。サービスを提供する価値毎に見える化して多様化するお客様の事前期待に応えることでビジネスを拡大している好事例といえるのではないだろうか
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