非財務情報の開示とISO30414
欧米では先んじてかなり開示が進んでいたが、昨年くらいからやっと日本でも非財務情報の開示についての議論が盛んになってきた。
岸田首相もついに昨年会見でこの内容に触れたが、正直言ってグローバル基準で見ると遅きに失した感がある。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-20/R5UHYSDWX2PS01
ドイツ銀行あたりはかなり前からIR情報の中でもアピールしていたし、ドイツを中心としたヨーロッパではもはや当たり前のことになりつつある。しかし日本ではまだ非財務情報の開示を進めている企業は半分にも満たないのが実情だ。
そもそもこの背景にはISO30414という国際標準規格がある。ドイツ銀行などはこれに準拠していると大きくうたっている。
ISO30414では人的資本に関する11の領域と58の指標について計算式を含めて定義がなされている。ちょうど私の所属するピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会でも今春対訳版を発行する運びとなっている。
https://peopleanalytics.or.jp/news/2804/
企業が非財務資本の価値を高め、ピープルアナリティクスを進めていく上でのフレームとしても注目に値するものであり、今後の活用において是非この対訳版を参考にしてほしいと考えている。
日本企業の取り組みは遅れているがその中でも先進的に取り組んでいるのが三井化学グループだ。
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/sustainability/society/employee/hris.htm
HRDXを進める中でも単にRPAやチャットボット、サクセスファクターズやワークデイの導入に留まらず、ISOに準拠してアナリティクスを行い、従業員一人当たりEBIT/売上/利益、人的資本ROIを経年で内部モニタリングしながら進めている点で日本では稀有な存在であろう。
私はずっと日本人の給料を上げたいという信念で人事コンサルタントをしてきたが、やっとその局面に繋がる展開が来たと思っている。この流れは今後折に触れて取り上げていきたいと思っている。