ピープルアナリティクスと心理学的ケアの両立
最近プロジェクトを多くリードしていて感じるのは、人事の皆さんも一様にピープルアナリティクスの重要性を意識するようになってきて、単なる研究ではなく実践的なピープルアナリティクスの時代に入ってきているなということです。
ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の上席研究員でもあるので、クライアントやセミナー参加者からさまざまな質問や意見を頂きます。
特に多いのは離職率低下に関する話やDXを中心とした人材の育成や採用の話です。その辺りの因子をデータから特定して、うまく経営に活かしていきたいという想いが日に日に増していると感じます。
しかしながら自分としてはどうもテクノロジーの方にばかり寄りがちで本当に大丈夫だろうかと思うことが度々あります。もちろんピープルアナリティクスは重要だし、メタバースも今後企業が生き抜く上では重要な要素になっていくのは間違いない。
でもデータや仮想空間に寄っていけばいくほど、人間の心や魂の問題により深く取り組まなければならないのではないかと感じます。企業はこの両輪を回さないといけないのにDXのバズワード化もあって、テクノロジーの側にだけ力をかけすぎているのではないか?という疑問が私の中には大きな問題意識としてあります。
リモートワークが働き方の中心になり、メンタルを壊してしまう人が増えているのはどの会社でも同じ状況です。人事部門の方からもこういう意見はすごくよく耳にします。しかしどうもそこに対してデータ的なアプローチばかりしているのではないか。
一時期経営者の間で内観が流行ったことがありました。禅の教えをもとにして吉本内観法として発展してきました。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E8%A6%B3
海外でもNaikanで通じる人もいるくらい世界的にもポピュラーですね。母親を起点にして、他人に自分がしてもらったこと、自分が他人に返してきたことを1週間程度泊まりがけで3つの観点から反省する方法です。
https://youtube.com/playlist?list=PLAeYoq0n7c3a2rI0Ppc_DY3zpsZVIZngO
私もリモートワークが流行った時に、鈴木大拙の講和をYouTubeでたくさん聞きました。すごく救われた気持ちがありました。
禅はヨーロッパを中心にして結構クールなものとして受け入れられていますがどうも日本人自身が経営や企業の現場にうまく還元できていないと思います。
もう少し体型的に内観法や禅の教えを取り入れて行っても良いのではないかなと思います。
また、人事における心理学的ケアでもう一つ注目しているのがスポーツ心理学です。
https://www.katsuiku-academy.org/media/sports-psychology/amp/
サッカーの長谷部選手の「心を整える」がベストセラーになりましたが、スポーツ選手が大事な場面でパフォーマンスを発揮する上でのメソッドは企業人事の中でも意味のある内容だと感じています。
ただこの分野もまだまだ取り組みがそこまで盛んではなく、まだまだ企業内の人材育成やケアの中に取り入れていくべき内容だと思っています。
心理的安全性の話も最近よく話題にのぼるようになりました。この分野はまさに禅の話と親和性が高いと思います。
https://diamond.jp/articles/-/285415
https://note.com/zentech_note/n/n32d775248f66
ZENTechさんはまさに禅の実践を心理的安全性の分野で行おうとしている会社ですね!
日本人は元来、八百万の神など神道的にもすぐそばに祈りがありました。また農耕民族である日本人がグローバルなスポーツなどの戦いの場面でどうパフォーマンスを発揮するのかは、企業がグローバル化している中で意味のある示唆を提示してくれます。
どうも人事の取り組みも心技体でいう技(=テクノロジーやスキル)に偏っていると思えるので、心や体にも着目して人事コンサルの現場で支援ができたら良いなと思っています。
これからのピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会におけるLearn-Techワーキンググループの活動もこの辺に焦点をあてたセミナーなどを展開していこうと思っています。