コンサルタントとして必要な考え方
もう15年以上、総合系と呼ばれる外資コンサルファームを渡り歩いていますが、この業界も本当に人気業界になって地頭の優秀な若手が増えたなと実感しています。
ただ母数が増えた分、経験値を持つ人が減っているのも事実でマネージャー以上の管理職層の人材が薄くなってきてるのも同時に感じます。
また、いわゆる意識高い系職種と言われるようにもなった事である種の勘違いも生まれているように思っています。
カッコいい仕事とか高給取りみたいなイメージもあるようですがそこに惹かれて入ってくると大体は壁にぶち当たって数年でやめてしまう。そういう若手をたくさん見てきました。
多分一番重要な素質は、「考えることによって人に喜びを与えることが好きかどうか」なのではないかと思います。単に考えることが好きでもダメだし、クライアントに喜びを与えたいという想いだけでもダメなのだと感じます。
ある課題に対して誰よりも考え抜く事、またその自分の考えを人に伝えるために絵や言葉にして解決し、その人たちに喜んでもらう事。これを仕事として喜べるかどうかにかかっているのではないでしょうか。
この辺の勘所をきちんと若手に伝えられているのかというと結構その辺の育てる文化がコンサル業界ですら薄まってきていると思います。
最初にIT系の事業会社からコンサルファームに移ってきた時に一番驚いたことは「こんなに細かく資料レビューするのか」という事でした。
当時は資料を紙に出してマネージャーがその紙に赤入れをして、それこそ一言一句、図の配置の細かなところまで直されたのを覚えています。
大体においてそういう場面は苦しくもあり、何クソとも思うのですが、今考えてみると、そういう場面があって自分の成長があったなと思っています。
会議室のハジからハジまで詰め寄られるスタッフや朝方までオフィスで残って資料と格闘する新人をたくさん見てきましたが、今は昔の感があります。
ブラック企業問題もあって、本当に厳しい指導ができなくなってきて、それ自体はパワハラ抑止のためにとても良い事だと思いますが、そこで指導をやめてしまったらダメだと思っています。
本当にキチンと愛情を持って伝えていき、無理なところは(経営と一体かどうかは別にしてw)管理監督者が腹をくくってカバーしてあげることが大事だと思います。
この腹を括ることができるのは、自分も修羅場を経験したことがある人でないと難しいし、その経験値を持つハードでタフな時代のコンサルティング業界で生き抜いた管理職層が本当に今少ないなと感じています。
若くして偉くなった地頭良いコンサルタントの方も増えてきているのですがこういう人はもともと素質がある一握りの人なのであって、自分のようにピカピカではないけれどそれなりに経験を積めばものになるような層をちゃんと育てられる企業かどうかが今後のコンサル業界での成否を分けるのかもしれません。