不況下における育成・採用の捉え方
経済の調子が悪い昨今のような情勢で、人材採用のストップや採用部門縮小に走る企業が増えている。先日もGoogleが100人に及ぶ採用部門の社員の削減を決定したばかりだ。日本では、ソニーの正社員削減のニュースに衝撃を受けた人も多いだろう。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0901/15/news044.html
ただ思い出してほしい。リーマンショック前までは、日本企業は「人材不足」であるといわれていた。団塊世代の大量退職(2007年)問題やグローバル人材の育成は日本企業が世界と戦っていく上で急務とされていた。それがリーマンショック以降は世界において軒並み「人材採用削減、採用部門縮小、人材開発への投資を控える」となった。それに追随する形で、日本企業も同様の対応が相次いでいる。
しかしながら、私は「全ての企業が十把一絡げに横並びで採用数を抑えるべきではない」と考えている。最近様々なコラムや文章を読んで目にする「100年に一度の機器は、100年に一度のチャンス」というフレーズは、日本企業にとって事実である部分が多いからだ。
今回の金融危機においてはっきりした事は、「金融立国」の脆さと、「ものづくり立国」の強さだ。今回の金融危機では、アイスランドやイギリス、アメリカといった金融が「食い扶持」の国は大きな痛手を負っている。逆に世界でも「ものづくり産業」の占める割合の強い日本は直接的な影響は前者に比べて少ない。
日本が今をチャンスと捉えるのであれば、より一層の「ものづくり」へのフォーカスが重要であり、それには「品質」への追求が必要であろう。私は、高価であろうと、なかろうと日本の製品は品質がとにかく高いというイメージを更に伸ばす事が望ましいと考えている。そんな中で、横並びに採用や育成への投資を抑えるだけでなく、自社の置かれている状況や長期的なビジネス開発などを念頭にし、自社なりの状況判断が求められていると私は感じている。
実際、大企業が採用を抑制する中で、自社なりの戦略で採用数を増やしている企業も多い。今日の新聞にも出ていたが、東京三菱UFJは、前年度比150人増の1500人を採用する見込みだそうだ。本田技研工業も、前年度比130人増の1470人を採用する。今回の金融危機において影響を最も受けている銀行・自動車業界においても、このように自社独自の判断を下している実情がある。
不況下だから、人を採らない、育てないというのではなく、こういう時代だからこそ必要な採用・育成のスタイルが確実にあると考えている。まだ私の中でもまだ明確なスタイルやメソッドを確立できていないが、今後も引き続いて考察していこうと考えている。
皆さんの企業でも不況下での採用・育成に関する面白い取り組みがあれば教えてください。