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消費期限切れ問題に見るJust In Timeの重要性と張りぼての認証取得

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不二家の問題が連日紙面をにぎわせていますね。この問題は最終的には私はJust In Time生産の追及が食品業界でも必要じゃないかいうことだと思っています。

『ジャストインタイム生産方式の最大の狙いは、工程間の仕掛在庫を最少に抑えることである。工程間在庫を最少にする究極の形とは、完全受注生産である。しかし、生産のプロセスを見た場合、オーダーから出荷までの間には数多くの工程が存在し、それが結果としてリードタイムの長時間化をもたらす。ニッチな製品の場合は顧客側も長リードタイムを受け入れる場合が多いが、一般的な大量生産品の場合は長リードタイム化はそのまま販売の機会損失に繋がる。そのため、ある程度の見込み生産が発生するが、見込み生産の量が多いことは、資金の投資から回収までの期間が長くなり、キャッシュ・フローを見た場合も損失が大きい。また、販売不振による商品の切り替えが発生した場合、多量の仕掛在庫損失が発生することもある。(wikiより)』

そもそもトヨタ自動車により一躍有名になったカンバン方式とJust In Timeはどちらかと言えば自動車・自動車部品・重機関連業の代名詞ですが、食品業界での浸透度はどうなのでしょうか?原材料の消費期限が厳密な食品業界で、需要と供給のバランスを旨くあわせてニーズ量の通りに生産することは重要なことですが、どの程度まで不二家の場合実現されていたのでしょうか?あまりその辺その辺りを紐解いていくことが食品業界にも重要なことだと考えます。

もう一つ今回の事件で気になるのはISOの認証の問題です。不二家は2001から04年に渡って、国内の5つの工場でISO14001の認証を受けています。また2006年には本社の品質保証部と資材部がISO9001を取得しています。

不二家側は説明では、「工場はISOの認証を受けていた為、廃棄が増えると是正報告書を書かなくてはならず、期限切れの原材料を捨てづらかった面もあるようだ」、と釈明しています。

つまりは本来安全を守られるはずの認証基準が逆の方向で解釈され、認証を取得することが目的になってしまっている結果であると思います。これは何も不二家に限らず、全ての会社にいれることです。環境や品質を守る企業の目安としてある認証取得の基準が、逆に品質や安全を脅かすということはあってはならないことなのです。

しかしセキュリティに関する外部・内部監査があるときだけ卓上をきれいにしたり、社内のセキュリティ基準を守るように対応していたりする会社が実際は殆どであったり、認証取得のルールにのっとらなければならないばかりにさらに大きな過ちを犯してしまうといったケースもあるわけです。

認証取得やプライバシーマークを取得することは、あくまで企業がコンプライアンスを守るための手段であるはずなのに、それ自体が目的として考えられた結果がこの事件なのではないかと思うのです。

やはりそう考えると社員一人ひとりの倫理観を醸成し、会社の風土や意識を変えていくことが重要です。その為にもeラーニングや企業内コミュ二ケーションなどITの力で徹底的に風土を変えることが重要なのではないでしょうか。

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