企業における義務教育の徹底
最近企業の人材育成、特にeラーニングのコンサルティングに携わっていると、提供方法と提供コンテンツが変遷していることを感じる。
手段の変化という意味では「デバイス」が変化してきている。従来の企業や学校におけるeラーニングは基本的にノートPC等のデバイスを用いて、WBT(Web Based Training)コンテンツとLMS(Learning Management System)による管理ばかりだった。そこが変わってきている。
早稲田塾の英単語道場(http://www.wasedajuku.com/curriculum/eitango_dojo.asp)の例のようにIpod/Pod・Videocastingを使った学習の例が出てきたり、携帯ゲーム端末での所謂「脳ゲー」のような形はその典型だろう。大リーグでは選手が移動中に敵のフォームを研究するのにVideoCastingを利用しているそうだ。移動が多いメジャー選手の場合、Ipodでフォームを研究するのは非常に効果的なのだという。
また携帯電話でのモバイルラーニングも注目されている。日本より激しい受験競争と学歴社会である韓国の携帯事業者最大手のSK Telecomでは携帯電話に受験対策講義を配信する「PLLEP」を展開している。ライバル会社のKTFでも、専用サイトで受験用講義サイトを閲覧できるサービスプランがある。これだけ競争が強い社会ではどこにいても携帯電話で勉強しなければ勝ち残れないのであろうか?私は韓国では生き残れない気がするw
コンテンツという点ではダイバーシティ推進を含めたCSRに関わるコンテンツのニーズが多くなってきている。法制度/認証取得関連コース、コンプライアンス、経営ビジョン浸透といった『企業の義務教育』においてeラーニングが効果を示すのは明らかだ。全社員が徹底的に遵守しなければならない内容を「広く」「早く」「徹底的に」行えるのはeラーニングの魅力の一つである。
例えば2000年前後は、個人情報保護法関連のコンテンツやISO認証取得などの研修が流行った。今はそれが企業のCSR、特にダイバーシティ推進のコンテンツに移行しつつある。なぜなら日本企業はダイバーシティ推進がはっきりいって遅れているからである。
外資系企業では人種の壁も含めたダイバーシティ推進の取り組みが進んでいる。世界的に活躍するIBMやHPなどは女性や外国籍の管理職登用が進んでいる。日本企業はやっと女性管理職登用などに注目し始めたが、第三国籍の人材の管理職比率となると世界でもかなり低い。
日経の2006年度「働きやすい会社」ランキングでは今年「松下電器産業」が1位となった。これもダイバーシティの推進と密接に影響している。松下電器、日本HP、日本IBMなど上位に食い込んでいるのはどこもダイバーシティ推進に取り組んでいる企業ばかりだ。
http://job.nikkei.co.jp/2008/contents/business/hatarakiyasui/
特に日本企業としてダイバーシティ推進に対して積極的に取り組んでいるのが堂々1位の松下電器産業だろう。ダイバーシティの経営的な目的を明示している日本企業の筆頭といえる。同社はダイバーシティに取り組む目的として①多様性を認める風土の醸成 ②女性の経営参画の加速 ③新規事業やヒット商品の創出をあげている。実際の取り組みとしては以下を行っている。
■「ダイバーシティ西日本勉強会」運営への参画
■「多様性推進本部」の新設
■「e-Work推進室」の新設
■ワーク&ライフサポートプログラム
■グローバル適材適所の推進
■障害者雇用の推進
http://panasonic.co.jp/report/data_file/social/emp_02.html#p01
またCSRという観点でも昨年『松下幸之助とCSR』という観点で展覧会を行っている。
WEB上にコンテンツがあるが中々充実していて、感心してしまった。
http://panasonic.co.jp/rekishikan/tokubetsuten/2005/menu.html
まだまだ日本企業のCSRへの取り組みは始まったばかりである。
皆さんの会社でもダイバーシティ推進への取り組みに
eラーニングを用いてみてはいかがでしょうか?徹底するのに結構効果ありますよ!!!