「顧客満足」の本質
サービスとか顧客満足とか・・・これ、本当に難しいですね。
かなり前になるのですが、仕事で東京の浜松町に行ったことがあります。
私は関西(兵庫県)に住んでおり、東京に行くときはたいてい神戸空港から飛行機で向かいます。で、浜松町といえば、羽田空港からモノレールで終点なんですよ。ですから飛行機で行くと便利なんです。
それはさておき。
仕事が終わって一段落したら、もう午後2時を回っていました。遅い昼食を取るためにお客様先を出たら、すぐのところにカレー屋さんがありました。昼の繁忙期が過ぎた午後1時30分からはサービスメニューをやっているとのことで、
通常700円のカレーに、小さな野菜サラダとゆで卵が2つ、
そしてソフトドリンクが1杯ついて、700円据え置き
だったのです。カレー好きの私は喜んで飛び込みました。そして、わくわくしながらその「サービスランチ」を頼んだわけです。
が、
そもそも、カレーがおいしくない。
ちょっとまってくれー、と思いました。とびきりおいしいことを期待していたわけじゃないけれど、これはもう「まずい」の域に入ってますよ。
これじゃぁ、いくら野菜サラダやゆで卵(しかも2個)、ソフトドリンクがついても、全然嬉しくないです。
これをサービスランチと呼ばないでください、頼むから。
それが、かなり前のことです。で、つい先日同じお客様先に行ったら、そのカレー屋さんはなくなっていました。まぁ、あの味では当然といえば当然かも。
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サービスとは何か、ということを考えさせられました。
まず、そもそも顧客が望んでいるものは何なのか?ということを把握して、最低限それを提供することがサービスの基本であるはずです。カレー屋さんだったら、少なくともおいしい(とびきりおいしくなくてもいいから)カレーを食べさせるということが、サービスの基本であるはずです。あとは店の清潔感とか、サービスの速度とか、値段とかも大事ですけどね。でも、まずは味でしょう。
顧客が望むサービスを適切に(過剰でも不足してもだめ)提供して初めて、顧客はある程度の満足を得ます。
そして次に、そのサービスがタイムリーであるとか、顧客が要求する前に出てきたとか、少し「顧客の立場にたって考える」ことで、顧客は「十分な満足」を得ます。
さらにさらに、顧客が思いもつかなかった、しかも提供されて嬉しいようなサービスを提供されると、顧客は「感動」するわけです。
私としてはね。小さいことですが、カレーに野菜サラダとゆで卵(しかも2個、しつこいって)とソフトドリンクがついて、カレーだけの価格で提供されることに、少し感動したんですよ(本当に少しだけど)。この店、よくがんばってるなぁって。
しかし、そもそも期待したもの(最低でも「まずくない」味のカレー)が提供されないと、そのほかの付帯サービスがどんなに輝いていても、顧客は満足しないわけです。
カレー屋さんだけではありません。これ、どんなサービス業でも、もちろん ITサービスでも、同じことが言えると思います。例えば(極端な例ですが)ASPサービスがいくら多機能で安くても、そもそも可用性が低いとか、サポート体制が十分でないとかであれば、そんなサービスは使ってくれないでしょう。
まずは、顧客の声に耳を傾ける。そして、顧客の声に応えられるだけの力を身につける。
顧客満足の出発点は、そんな単純なことからだと思います。
それから、付帯サービスで勝負するのはやめたほうがいいと思います。
まずは本質で勝負する。付帯サービスが本当のサービスになるのは、本体のサービスが成功しているときのみです。
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蛇足ですが、私の住んでいる大阪~兵庫地区に、それはそれはおいしい(と私は思っている)カレー屋さんがあります。最近は、1週間に1回は通っています。このお店、味もさることながら、他にも感動を与えてくださるサービスがあります。
お客さんのコップに水を継ぎ足すタイミングが絶妙なんです。
とっても辛いカレーなのでどうしても水に手が出ますが、その水を飲むタイミングを決して邪魔しない、超すばらしい継ぎ足し方をします。「お冷継ぎ足しマイスター」か何かの研修でも受けているような。(実際ここのカレー屋さんは、ルーをご飯の上に盛るための厳しい研修があるそうですが)そんなほとんど気づかれないような隠し味的なサービスというのは、気づいた瞬間に本当に感動するものです。
しかもこの店のカレーには、卵以外のトッピングオプションがありません。まさにカレーだけで勝負する店。ある意味、本当の顧客満足を知っているような店だと感じています。