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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「環境型パワハラ」について

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セクハラには大きく2種類ありまして、「対価型」と「環境型」に分類されると言われています。

一方、パワハラには、厚労省が出している「パワハラ6類型」という分類が有名ですが、こちらにも「環境型」があるんではないかと思ったりしています。

「環境型パワハラ」とは、「自分がパワハラを受けているわけではないのだが、大声で怒鳴られたり、執拗に叱られたりしている同僚や誰かを見ているだけで気分が萎える、気分が悪くなる」といった状況のことです。

たとえば、先輩が上司に叱られている。それもちょっとした注意程度ならいいのだけれど、「やる気あんのか」「何年この仕事しているんだ」などと言われているのが聞こえてくる。

その声や言葉を聴いているだけで、心臓がぎゅっとなったり、呼吸が止まりそうになったりする。

「ああ、いやだなぁ」と思う・・。

自分が叱られているわけじゃないので、6類型に分類できないのだけれど、端で繰り広げられる光景に胸が痛む。それ、「環境型パワハラ」ではないかと思うわけです。

以前、こんなことを言っている人がいました。

「私はたまたま"〇〇さん"って呼ばれるんですけど、同僚が、あだ名で呼ばれているんですよね。当人はさほど気にしていないみたいなんだけれど、人間の尊厳が損なわれる、というか、対等に扱っていない感じというか、あだ名で呼ばれているのを聴いている私が心が痛んで・・・。でも、言えないじゃないですか、上司に、それ。」

こういうのも「環境型パワハラ」に類すると思うのです。


そういえば、最近、パワハラについてちょっと研究していた(単に、文献を数冊読んだり、厚労省のサイトを見まくったりした程度ですが)のですが、30年前に上司に言われたことって、今思えば「パワハラ」「セクハラ」だったなぁとしみじみ思います。あの時は、「会社ってのはこーゆうもんだ」とあまり反感も覚えなかったけれど、今の若い世代は、ちゃんとそういう教育を受けているので、違和感を覚えまくりで、反論もしてくるはず。←もちろん、これが正しい姿だと思います。

なんで、あの時、「そういうもんだ」となんでもナットクしてしまったんだろうなぁ。自分の尊厳が傷ついていたかもしれないのに。

例)
「売上が低迷している。25歳以下の女は、駅前に行って、お客探してこい!(笑)」(30代男性上司の言葉)

「あ、そんなこと、言っちゃっていいの? 今、査定の時期なんだけど(笑)」(20代男性リーダーの言葉)

「今年の新入社員は、上司のところに、お酌にも来ない」(40代後半部長の言葉)

・・・・今なら、全部、アウトでしょう!

ま、昔のことなので、いいんですけどね。

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こんな本を読んでみましたよ。

厚労省のパワハラ6類型に入るような事例よりも、もっと身近には、「微妙なこと」が起こっているはずで、上司は悪気ないけど、部下は傷ついている、怒っている・・・みたいなことにもっと気を付けないといけないんですよね。

でも、そればかり考えていると、怖くて口きけなくなってしまう・・・。

はてさて、本当に難しい。

  

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