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女性に掛けられた呪いについて考えた。(「キャスリーン・フリン × 村井理子 新・出版プロジェクト発表会」に参加して)

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10月6日(土)、「キャスリーン・フリンさん×村井理子さんの"新・出版プロジェクト発表会"」というイベントに参加してきた。

キャスリーン・フリンさんと言われても、ピンとこないかも知れないが、『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』著者といえばお分かりになる方もいらっしゃるかも知れない。村井理子さんは、同著の訳者である。

『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』には、たくさんの、料理や家事全般が苦手な女性が登場するのだが、キャスリーンさんが色々なアドバイスをして、その女性たちが徐々に自信を持ち、生き生きとしていく、というお話しである。(かなり簡略化して書いている。おもしろいので、とにかく読んでみてほしい。)

そのキャスリーンさんの来日イベントがあった。

次の本は、「日本のお魚」をテーマにするということで、どんな内容なのか、模索中とのこと。50人ほどの女性(とちらほらと男性)が集まって、まずはキャスリーンさんのお話を聴く。


移転直前の築地のセリを見学したり、寿司アカデミーに入門したり、といったお話が続く。

その後、「どんな本になったら皆さんは嬉しいか?」「どういう本を期待しているか?」と会場に問いかけがあった。

10人ほどが手を挙げただろうか。以下のようなことを口々におっしゃった。

・「前の本『ダメ女...』の時、あ、やってみようかな、やったことないけど、やってみようかな、と思えたことがあったので、今度の本も"やってみようかなー"と思えるものがいい」

・「知らなかったことを知ることができるのがいい。たとえば、前の本では、チキンを部位ごとに買うより、丸ごと買ったほうが安いし、無駄がないし、色々に使えるとあって、確かに、細かく部位ごとになればなるほど、コストも高くなるし、なるほどーと思ったから」

・「漁港出身なんですが、魚ってのはさばいてあるのが普通で、家庭でさばくことなんでないのだけれど、そういうプレッシャーから解放してほしい」

・「女は料理をしなければならない、とか、日本人は差かなを食べなければいけないといった義務を負いやすいのだが、そこから私を自由にしてほしい」

・「ハードルを低くしてほしい。たとえば、出刃は必要なのか?そんなハードルなくていいよ、って言ってほしい」

・「許してほしい。やってみたいと思えるような本になればいいな」

走り書きメモなので、正確な再現ではないのだけれど、およそ、こんな発言が出てきた(上記は、発言順)。最初は、「知らなかったことを知りたい」「やったことないことをやってみたいと思える本がいいな」という声が続いたのだが、後半は、「私を自由にして」「ハードルを低く」「許して」とだんだん"悲痛な叫び"な感じになってくる。

これを聴いていて、非常に面白いなぁー、興味深いなぁーと思ったのだ。

女性は、何に捉われているのだろうか?

「女なんだから料理が出来て当たり前。」

「日本人として、魚一つさばけなくてどうする?」

・・・・

そういう呪いがいっぱい、全身に振りまかれていて、もうがんじがらめのような・・・。

だいたい、こういう食のイベントに来場する人って、既に、料理の一つや二つ、普段からやっている方たちだと思うのだが、
そういう人たちが、「私を許して!」と言うのだ。

面白い。

自分で自分を許せばいいのに、自分で自分を解放すればいいのに。

「魚、さばけませんけど、それが何か?」と言えばいいのに。

「魚は、魚屋さんにさばいてもらいますけど、それが何か?問題でも?」と堂々と胸を張って言えばいいのに。
(←こう言っちゃうのは簡単だが、それができないから皆悩んでいるわけで)

なのに、キャスリーンさんに「私を許してくれる本を書いてほしい」と他者にゆるしを乞う。

これは、とても面白い。

全然関係ないけど、「自立と自律」ってふたつの「じりつ」がありますね。

「料理ができる」のが「自立」だとすると、
「魚、さばけませんけど、何か?」と堂々と言えるのが「自律」だと思のだ。

そう、「自律」だ。

いろんな呪縛からの「自立」ではなく、「自律」。

自分で自分の基準を決めて、堂々としていたらいいじゃないか。

私は、人生で魚をさばいたのは、たぶん2回くらい、しかも、最後が20年くらい前だけど、それが何か?と思っている。

まあ、気楽なシングルライフだから、誰からも何も言われない(期待もされない)ってこともあるかと思うし、もともと魚があまり好きではないから気にならないということもあるだろうが、それでも、「それが何か?」と思う。

とはいえ、「料理くらいできないとね」という呪縛はある。

誰かに言われたのか。母からか?あるいは、社会の無言の圧力か。

そういう呪いというのは、本人の中にひっそりと、こっそりと入り込んで、かなり強固なもので、そこから逃げるのにはエネルギーがいる。だって、自分で思い込んでいる部分もあるから。でも、そこから抜け出すには、自分の基準を自分で決めるしかない。


女性活躍推進とか言っているけれど、まずは、呪いから自由になることなんじゃないかなぁと思ったトークショーなのでありました。

※ところで、「魚、沢山食べますよ!もちろん自分でさばきますよ!」という女性ももちろんいらして、ひとりの若い方が、「私は、丸ごと買って、さばくのが快感です。ストレス解消!」と発言すると、他の方が「魚おろしセラピー」とそれを名づけたりして、好きな人には達成感を味わえることかも知れないなぁとも思った次第。

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このイベント、スープ作家の有賀薫さんのTweetで知ったのだが、薫さんと入口付近で出会い、並んで座っていたら、そこに阿古真理さんが来られ、同じテーブルに。阿古真理さんと一度お話ししてみたかったので、とても嬉しかった。

...というわけで、関係する本を以下にずらっと並べておきます。

         

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