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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「その仕事、無理です、できません」という人は"マインド"が足りないのか?

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「その仕事、私には無理です」
「そんな作業、僕にはできません」

といって断る、嫌がる、及び腰になるというケースがたまにあります。

そういう時、「主体性が足りない」「積極性が不足している」などと、いわゆる「マインド」の問題だと捉えることが多いように思います。

だから、
「自分ごとで考える癖をつけさせなくては!」
「自分の仕事だという責任感を持たせなくては!」
「もっと積極的に挑戦する気持ちを醸成しなくては!」
と考え、そのために上司が働きかけたり、「マインド向上研修」(みたいなもの)を設定してみたりすることもあるかもしれません。

だが、しかし、ふと。

私、ほとんど、「できません」「無理です」と言わないのですが、それは、なぜかというと「マインドがしっかりしているから」ではなくて、本当に「できると思う」からなのですね。少なくとも自分の専門分野であれば、No!と言わない。

主体的とか「自分ごと」とかそういう話以前に、

「ああなって、こうなって、そうなって、すると、あーなるから、こうでこうで、こう」

と見通しがつくので、

「はい、やりましょう」
だったり、
「そのままではできませんが、こういうやり方でどうですか?」
と提案したりして、なんとかこなせることが多いのです。

これは、30年以上も同じ分野の仕事をしてきて、専門性を高めてきたからの「蓄積」がものをいうのであって、私もまだ経験が浅かった時代は、「無理、できない」と言っていたように思います。

・・・ってことはですね。

マインド醸成じゃなくて、(いや、もちろん、それも大事かもしれないけれど)
喫緊の課題は、

「とにかく、知識とスキルを付ける」

になんじゃないでしょうか。

知識とスキルは、「教える」という行為でもできますが、何よりも、「経験すること」から得られるはず。

かわいい子には旅をさせろ、と言います。

「この仕事、ちょっとレベル高いかな?」と思うものを、アサインするほうも「大丈夫かな?」と不安を感じながらも、心配しながらも、思い切って担当させてみたらいい。

多少失敗しても、その失敗からまた何かを学ぶはずだし、一つ一つの経験が糧になり、知識やスキルが増え、「経験値」から「これ、たぶん、こうなるから、できるな」とか「こうすればいいはず」と予測も立つようになってくるんじゃないかと、そう思います。

なんでもマインド、マインド、で片付けず、


経験が浅く、実力不足だから及び腰なのかも、と思えったら、まずは、その仕事(でもなんでも)をどんどん担当させてみたらいいと思うのですよね。

任せるためには、もしかすると、バックアップ方法を事前に考えておく、とか、何かあった時のサポート体制を敷いておくとか、そんなことも検討したほうがいいかもしれないけれど、経験するのが一番です。

怖い、できない、難しい、と思わないようになるのは、経験値を増やす。

やったことないから怖い。怖いことは避けたい。だから、「無理です」「できません」と言う、ってことあるはず。

経験を積ませること。

これがポイントだな、と思う次第。

・・・

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ってのも、そんなことを指す?(違うか

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北海道大学・松尾睦先生の「経験学習」の本、わたくしにとりまして、バイブルのような1冊です。

1冊です、と言いつつ、2冊紹介しますけれども。

 

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