酒井穣さんが「介護支援サイト」を設立! 「KAIGO LAB」。介護の最初の悩みは大半が情報不足から来る。
酒井穣さんが最近、やたらと介護ネタをツイートされるなぁと思っていたら、KAIGOのサイトを立ち上げたそうです。聴けば、ご自身も20年にわたる介護経験者(現在も)とのこと。私なんかよりも、うんとベテランです。設立趣旨もふむふむと読みました。
育休も介護休も法的には整備されてきましたが、まだまだ、不十分で、たとえば、介護休業は、一人に対して現時点では1回しか取得できないということになっています。でも、実際には、介護の場合、段階的に悪くなっていくもので、「大変だー」と休業し復職したら、また数年後に「もっと大変だー」が起こり、と言う風に、何度も何度もジェットコースターのように状況が変化するものです。それも、たいていは、悪い方に。徐々に右肩下がりに。
なので、介護休業についても、分割取得が議論されていますね。
子育てのように、どんどん相手が大きくなり、どんどんできることが増えてきて、どんどん楽になり(また別の悩みは生まれますが。小1の壁とか反抗期とか)、というのと違って、どんどん相手は小さくなり、どんどんできないことが増えてきて、どんどん大変になる、というのが介護です。
酒井さんのサイト、まだちょっとしか見ていないのですが、先日の「人事部のみなさま」というエントリーは、そうだよねーとしみじみ3回くらい読んでしまいました。
子育ても介護も「休暇取らせてあげたらいいんでしょ?」と思うかも知れないけれど、同じじゃないよ、というね。
これ読んで、ずっと考えていたのですが、
●子育てというのは、かなり「普及」してきて、「啓蒙」も進み、職場で「子育ては全力で応援するもの」(しないと、なんとなくマズいという反応も含め)と思われるようになった
●一方で、介護は、まだ「普及」していないので、「啓蒙」もまだまだこれからで、職場で「介護を全力で応援する」という意識が芽生えていない(ように思える)
●その上、たとえば、「親が死んでも仕事は全うした」といったことが"美談"にされる風潮がないわけでもなく(舞台役者とか・・・いや、会社員でも)、「男たるや、大事な仕事があったら親の死に目に会えないのもしょうがない」みたいな考えもあったりもし、
●死んでも・・・がそうであれば、「介護状態だ」というだけで、休んだり、なんだりするのはもっと憚れる・・・
といった違いがあるように思えてきました。
介護が「タブー」なのではなく、まだ誰もそんなに慣れていないから、「タブー」に見えるというか、勉強不足だから分からないと言うか、自分も直面してないから考えたことも想像もできない、というか。
「子どもが熱を出したので帰ります」というのは、「おお、お大事に。」と言ってもらえても(あ、これだってまだまだ難しい職場が多数あることも理解してますが)、
「親が寝込んでいるので帰ります」というのは、とても言いづらい。
これまでは、介護は、おそらく「専業主婦」である「妻」が一手に担ってきた部分が少なからずあったと思われます、が女性の就業も進み、家族の考えもどんどん変化してくると、介護は、男性の問題でもあるのですよね。
現に私の周辺でも、「それぞれが自分の親を看る」と、独立した介護をしている人も多数います。
男性は、自分の親を看ているが、妻はそこには関与しない。
女性は、自分の親を看ているが、夫はそこには関与しない。
だから、本当に誰にとっても介護は、「自分のこと」なのです。
・・・酒井さんのサイトにも書いてありますが、子育てと違って、ある日突然やってくるのが介護です。心の準備も物理的な準備も何も出来ていない。
・・・うわー、パニック、パニック、パニック・・・。
何をどこからはじめたらいいのか分からない。茫然とする。
何かしなければいけないし、目の前に介護を必要としている人がいるわけなんだけれど、何から手を付けたらいいか分からない。
仕事もある。
家事もある。
考えることが多過ぎて、しかも、子育てで味わえる「楽しさ」みたいなものはほとんどなくて、かなしくて切なくて、そして、重労働。
私は今年1月に介護問題に直面した時、「介護うつ」になりました。
今でも、あの時点とはカタチを変えて介護問題は継続中ですが、ちょっと小休止というところです。今後、また上がったり下がったりのジェットコースターが自分が老齢になるまで続き、最後は、自分の介護問題で、ああ、こまった、となるのかなぁと予測しています。
多くの経験者に言われたこと。「介護離職だけは絶対に避けなさい」
「介護は大変だし、子育てと違って、年齢による展望が見えない。見えないけれど、いつか終わる。介護中も終わった時も自分のよりどころがあったほうがいい。仕事はその一つ。だから絶対に辞めてはダメだ」
そう多くの友人にアドバイスされました。
情報、知識があることは、その助けになるはずです。
そして、似た境遇にある人同士のネットワークもまた心の助けになることでしょう。
酒井さんのサイト、期待したいと思います。
皆さまも是非ご覧ください。