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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「いいからやれ」のお話を書きました。(←省略しすぎ)

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もう10年くらい前になるでしょうか。

ある企業で、40-50代前半のシニア世代を対象に「ネゴシエーション」の研修を担当した時のこと。

「これまでに経験してきたネゴシエーションの場面を思い出してください。1つでいいから、どんなネゴだったか、いきさつや結果を書き出していただけますか?対外的な仕事が少ない方は、上司とのネゴでもいいですから」とワークを始めました。

あるお一人(たぶん、40代後半、ノンマネージャ)が、こうおっしゃいます。

「上司とネゴなんかしたことないですよ。だって、いつだっての”上司の言いなり”だもんなぁー。なぁ」

隣の人に同意を求めます。

別のチームで、30代の方が

「どうしてもこの時期に休暇を取りたいという希望があって、でも、仕事の調整が必要となるので、上司とネゴしました。条件提示をして、仕事に支障が出ないよう前倒しでやって、なんとか希望通りの日程で休暇をとったことがあります。これもネゴですよね?」

という話をされていて、それを聴いたその40代後半の方が、「ああ、そういうのもネゴシエーションなのかぁ・・・」と少し感心したものの、「やっぱり、上司には”言いなり”でこれまで30年近くやってきたからなぁー」と諦め顔でおっしゃったのでした。

外資系に長く勤めていた私には、「上司の言いなり」というのがうまく理解できず、「そんな30年って、大変だろうなぁ」と思ったものでした。

さて、21世紀も半ばになって、「部下に納得させる」「部下のモチベーション」なんてことが大事だと注目されるようになってきました。PM理論で言うと、Mも大事だと改めて認識されたのでしょう。(いや、ホーソン実験でもそこは明らかなのだけれど、やはり、上下関係というのは、P中心になりやすいというか・・・)


今や、「何のために」「何を目的に」「どういう背景があって」「なぜあなたに取り組んでほしいかというと」という”きちんとした説明”が求められ、部下やメンバも”納得”してから取り組む、ということは、ある意味”当たり前”なことになってきたのではないかと思います。

”言いなり”で来た世代(全員ではないけれど、ある年代以上はかなり多かったのではないでしょうか。私世代以上の年代に)が2-30代の「これ、何のためにやるんですか?」という問いに戸惑うのもわからなくもない・・・

・・・なんてことをコラムに書いたところ、なんだかたくさん読まれているようで、有難いことです。

多少誤解を生んでいるというか、ちゃんと理解されなかったかな?というコメントもなきにしもあらずですが、それも読み手の自由ということで、コメントも楽しく拝見しています。

とにもかくにも平成の上司は、大変なのですなぁ。

誠Biz.ID 「上司はツライよ」(たぶん、4回目)

「いいからやれ!」が通じない時代、上司に必要とされるスキルとは?

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