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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「門前の小僧にはすでにお経が聞こえない」(再び)

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最近、ふと気づいたことがあります。

同じグループの人たちが何をしているかわからない、と。厳密に言うと、スケジューラーその他の方法で見ればわかるし、話せば理解はできるのですが、「なんとなく察知している」という状態ではなくなっている。

その理由は、いくつかあります。

●オフィスに設置されていたスケジュール用ホワイトボードがなくなった

色々な理由から、オフィスのスケジュール用ホワイトボードが廃止されてもう何年にもなります。以前、スケジュール用ホワイトボードをつかっていた際は、

田中淳子 AM ●●会社打ち合わせ  PM オフィス戻り14時
山本太郎 AM ××会議(離席) PM オフィス

などと一覧出来て、「あ、今日、山本さんは午前中不在だな」とか「●●会社に訪問しているってことは、案件が進行しているんだな」と全体感を把握できたものでした。

それが、今は、例えばオンラインのスケジューラに入れてはいるので、互いに見ようと思えば見えるわけですが、いちいち他者のスケジュールを事細かに見ないので、「誰が何をしているか」を瞬時に概観できない状態になっているんですね。

●電話が鳴らない、電話を掛けない

顧客とのアポでもちょっとした相談ごとでも基本は、メールでのやり取りになるので、隣の先輩が電話で説明している、とか、隣で営業がクライアントからの質問に答えている、といったこともあまりなくなりました。皆無ではないですが、「漏れ聞こえてくる」ことが激減です。

●クリーンデスク

コンプライアンスの関係で、クリーンデスクのルールが適用され、誰の机の上も何も置いてありません。

私が新人だった頃、先輩の机の上は、書類や書籍、資料、マニュアルが積み重ねてあり、それが従事している仕事に応じて変化していくので、「ああ、この先輩はなんだか難しいマニュアルをよく読んでいるな」とか「●●さんは、こういう技術にアンテナを立てているのか」などを垣間見て、焦ったり刺激受けたり。

あるいは、見積書や報告書をチラ身して、「●●企業と仕事しているんだな」とクライアントとの関係を知ったりしたものでしたが、それも目に入らなくなってしまいました。

ホワイトボード、電話、机の上、この3つをとってみても、ベテランの私ですら、他者のしていることが瞬時には把握できない環境に変化しているのです。ましていわんや、若手をや、です。

新入社員を始めとした若手は、以前(たとえば20年前・・・15年前、あるいは、10年くらい前くらいまでは)、ホワイトボードや電話の会話や他者の机の上にあるものから情報を得たり、刺激を受けたりしていたこと、たくさんあったと思うのです。

「漏れ聞こえてくる会話」
「なんとなく目に触れている情報」

そういうものが、コンプライアンスだの電子化の関係で職場から消えている。

だからこそ、やはり、「誰かが教える」「誰かがきちんと説明する」「誰かたちゃんと育てる」ことがより必要になってきたのですよね。

「なぜ若手をそこまで丁寧に育てなければならないのか」「私たちが若いことは、誰も育ててくれなかった」と疑問を持ったり、不満を感じたりする中高年はまだまだ多いと聴きますが、やはり、こういう「働く環境の変化」を理解しなければならないのだなあ、と思うわけなのです。

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