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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

PMシンポジウム2011参加記録(1)防災のお話

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一般に「男性」は、「薬指の方が長い」、「女性」は、「人差し指の方が長い」、のだそうです。ホルモンの違いですって。(発達生物学者の研究だそうです。新聞で読みました。)

じっと両手を見る。

「あ゛ーーーーーーーーーー、薬指の方が長い。しかも、少しの違いではない。うんと長い。右手なんて薬指が人差し指より1cm近く長い!」

・・・うすうす感じていたけれど、やはり、「おっさん」が入っているんだな、私は・・・と今朝、妙に納得してしまった、田中淳子です。

皆さんは、薬指と人差し指、どちらが長いですか?

さて、本題。

2011/9/8(木)-9(金)と「PMシンポジウム2011」に参加してきました。1400人が集まるPM(プロジェクトマネジメント)の一大イベントです。

私、初日は、基調講演2本を拝聴したり、懇親会に参加したり、という「参加者」モード。昨日2日目は、講演者として、2時間半、「OJT」についてお話ししました。テーマは、「若手を育てる!生きたOJTのススメ」です。会場や遠隔地からTweetされていて(私が「どうぞ」と承諾したものです)、それのとぅぎゃりがありますので、よろしければ、ご覧ください。(ところどころ、タイプミスがあるのですが、なんせ、流れている講演をどんどんタイプなさっているので、その辺はご愛嬌、ということで)

「若手を育てる!生きたOJTのススメ」(9/9) トゥギャリ → コチラ

今日、ここで書きたいことは、それではなくて、基調講演についてです。

東京大学教授、 生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センター長の目黒公郎氏の「災害レジリエンスの高い社会の実現を目指して」という内容。会場が水を打ったかのようにし~んとする、迫力のプレゼンテーションでした。

今年は、3.11がありましたので、基調講演の1本目がこの災害、そして、防災というテーマ。

以下、工夫も何もありませんが、メモしていたキーワードを箇条書きで。

(あ、今の今まで理解できなかった「レジリエンス」とは、「困難な状況でもうまく適応できる力」といった意味のようです。やっとわかりました。講演に出てくる用語の解説って大切ですね。笑)

●災害現象の考え方は、
Input→System→Output となり、Inputが「地震や津波」、これはあくまでも自然現象など。InputがSystem、つまり社会や組織などに影響することで、Output=災害、被害が起こる。

だから、大震災とまとめて表現するけれど、地震というInputが起こり、それが震災というOutputが引き起こされた、と分けて考えるべき。

そして、「災害を軽減する」というのは、災害の拡大連鎖を、スケールが小さいうちにできるだけ早く断ち切るか、なのだそうです。

→ たなか) 地震は避けられないけれど、それで、たとえば家が倒れた、火災が起きた、延焼した、といった連鎖を早めに断ち切れば、災害が小さく抑えられる、ということです。

●延焼を防ぐ、火災が起こらないようにする、家が倒れないようにする、家の中で家具の下敷きにならないようにする、と、防ぐことを考えて準備すべきなのだけれど、「人間は、想像できないことを絶対に準備できない」

●防災の基本は、あくまでも「自助→共助→公助」です。公助は最後。それは仕方ないことである。自分で自分を守る。近くにいる人同士で助け合う。そして、どうしても遅れてやってくる公的な援助に頼る。

ここを「公助があるだろう」と待っていて、災害が広がるケースもある。

→ たなか) 以前、航空機関係のお仕事をしている方にも同じことを教わりました。飛行機の救命胴着の説明で「自分が着る」→「着られない子供などに着せてやる」、この順は、「自分を守る」→「他人を助ける」。結果的に生存率を上げるからなのだと言われました。

・・・

一番、「なるほど、そうだよな」と思ったのは、以下の部分。「目黒の3つの提案」という部分でのお話。

大規模の災害が発生した場合、被災者・被災地の事後支援に巨額なお金が必要になる。たとえば、火災で焼失した家をどうする、倒れた建物をどうする、という話があるけれど、それであれば、「倒れない家を作ることで、火災も大幅に防げる」ことをまず考えるべし。今後必ずやってくる大規模な地震に備え、耐震改修へのインセンティブを行政が行うことを考える。たとえば、倒壊する家を減らすだけでも、災害の規模を小さくできる。被害が小さくなれば、その小さい被害に対して、多額の費用をかけてきちんと支援ができる。(被害が甚大だと、一つ一つの被害に掛けられる費用が小さくなり、支援は不十分にならざるを得ない)

そして、今後間違いなくこういう災害が起こるという想像力を高めて、防災に取り組まなければならない、ということでした。

言われてみれば至極当然。

でも、多くの場面で、「事後対策」の方に目が向くことはあるなあ、とお話を聞いていて思いました。

たとえば、「医療費はなぜ高いのだろう?」「医療費控除があるんだよね」ということは気になるけれど、「病気の予防」にはあまり目が向かない。

暴飲暴食を避け、適度に運動し、「内臓脂肪が多いですよ」、「血圧が高いから気を付けてくださいね」などと言われないよう注意する、ということはなかなかできない。

予防には、想像力が必要なんですよね、たしかに。事象が起こってからは、想像力ではなく、現実になるので、アセるし、何とかしなければ、と動くのだけれど、事前に動くのは難しい。

だから、こういう「予防」「防災」という「防ぐ」ことに関する啓蒙と対応が重要なんだろうなあ、と思いました。

目黒氏によると、「今後30-50年でM8クラスが4-5回、M7クラスが40-50回起こる」という予測なのだそうです。日本は地震の活動期に間違いなく入った。「今からあなたは何をしますか?」と問いかけれた気分で、会場を後にいたしました。

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