研修の受講レポートを書くタイミングによって変化すること
昨日、ある研修の受講レポートを大量に読んでいました。受講者数が多かったので、時間をかけておひとりおひとりがどんな感想を持ったのか、講師にどのようなフィードバックをしてくださっているか熟読しました。
この受講レポートは、閉講後、教室で書いたものではなく、「研修終了後10日後に締切」が設定されていて、後日人事部に提出するタイプのものでした。
読んでいて、気づいたことがあります。
研修直後に書かれたらしいものは、受講の感想が、「カリキュラム、講師、教材、あるいは学習環境へ」と学習者自身ではない、学習者の周辺にあるものに目が向いていて、「評価する目線」で書かれたものが多いのです。
ところが、中に「自分の内面」に目を向け、「私は何を試してみたか」ということを書いたレポートがありまして、これは、よく読むと、研修直後ではなく、だいぶ経過してから書かれ、締切ぎりぎりに提出あるいは、締切後に提出されたもののようでした。
受講レポートには、「教材について」とか「この研修のお役立ち度について」などとある程度の設問はあらかじめ書かれているのですが、それに対するフリーコメントの質が「研修直後」に書いたものと「研修からしばらく経過して書いたもの」とでは明らかに違うわけです。
あ。そうか。
たとえば、「お役立ち度」の欄には、こんな風に書いてあります(あくまでも、書き方の例です。)
「学んだことはいろいろな場面で試してみたいと思うものが多かった。テキストにも具体例が多く掲載されていたので、チャンスがあったら実践してみようと思う」
一方、数日経過してから書かれたものは、こんな感じでした。
「学んだことをさっそく使ってみた。具体的には、●●をやってみた。後輩と会話しやすくなったことを実感した」
こんな風に全然違うのです。
私は講師をする立場なので、前者の「講師、環境、教材、カリキュラム」などに対する評価は当然頂戴したいですし、より改善する責任がありますが、学習者自身の「学び」に焦点を当てるのなら、後者のような内容のほうがよいのではないか、と思ってしまいました。
学習者自身が「何を感じ、具体的にどう行動に移したか」が大事なのであって、「行動」「実践」に結びつかなければ、どれほど多くの「気づき」があっても宝の持ち腐れ。絵に描いた餅。
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研修の受講レポートとか評価とかフィードバックというのは、だから、2つの視点で書かれるべきものなのかなかもしれませんね。
1つは、「教材、講師、環境、カリキュラムなどを評価する」視点で書くもの。
もう1つが、「学習者自身の気づきと実践」を書くもの。(特に、「何を実践したか」は書いてもらうといいと思いました。「何を実践するか」ではなく、「したか」です。過去形)
研修レポートやアンケートは、どちらかというと、前者の「評価者」視点に偏りがち。でも、後者の「学習者」視点の方がうんと大事なのではないか。それは学習者が「ゲスト」ではなく、「ホスト」になるためにも意味があることではないかと思うのです。
(え?今頃そんなことに気付いたの?と同業者からは突っ込まれそうですが、研修のアンケートって、だいたいが「CS調査」に近いのですよね。こういうところも少しずつ改革が必要なのかも知れませぬ。)