「10分でわかる企業のIT動向2020!!」
今回は最新の企業のIT動向を10分でわかるくらいで簡単に説明したいと思います。
1. ITトレンド全般
「ITトレンド」として現在、企業が導入優先度が高いベスト5は次のようになります。
1. パブリッククラウド(SaaS, IaaS, PaaS)
2. RPA
3. モバイルデバイスマネジメント
4. プライベートクラウド
5. ビジネスチャット
インフラやプラットフォームそしてアプリまでもパブリッククラウドを使う「クラウド化へのトレンド」は変わらず強いようです。
特に「SaaS」はすでに全体の「6割の企業」が導入済みだそうです。
またAWSやAzureに代表される「IaaS」,「PaaS」も全体の「約5割の企業」が導入済みです。
さらに売上1兆円以上の企業でみると「SaaS」が「87.5%」導入済み、「IaaS」,「PaaS」も「78.6%」導入済みと非常に高い数字となっています。
「クラウド化」は現在でも最優先の「ITトレンド」です。
企業の「ITトレンド」を前年度と比較した優先度の「伸び率」でランキングすると次のように少し様相が変わってきます。
1. RPA
2. ビジネスチャット
3. IoT
4. タレントマネジメント
5. AI
まず「RPA」も出始めてから一巡した感はありますが、いまだにトレンドとして強い伸びを示しています。
次に「ビジネスチャット」や「タレントマネジメント」など組織のコミュニケーションや人材の管理を高度化する「ITトレンド」に企業は高い関心を示しているようです。
「IoT」,「AI」も今まではネーミング先行でしたがようやく具体的な導入事例が出てくるほど本格的にITトレンドとして普及してきました。
2. IT予算
IT予算の全体の傾向としては、「46.3%の企業」が「変わらない」「40.7%の企業」が「予算を増加する」と答えており、今年の「コロナ禍」を考慮しなければ、本来企業のIT予算は「増加基調」のはずでした。
また「年間IT予算の売上に占める比率」は業種ごとに次のようです。
建築土木 0.59%
素材製造 0.97%
機械器具製造 1.06%
商社流通 0.93%
金融 8.16%
社会インフラ 1.48%
サービス 1.85%
業種全体的には1%から2%程度が平均ですが、金融機関はやはり飛び抜けてIT予算割合が大きく、比率は「8%」を超えています。
3. IT投資マネジメント
企業のIT投資の目的をランキングするとベスト5は以下のようになります。
1. 業務プロセスの効率化
2. 迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)
3. ビジネスモデルの変革
4. 顧客重視の経営
5. 営業力の強化
「業務プロセス効率化」と「迅速な業務、情報把握」は、例年変わらないIT投資の普遍的な目的です。
それに対して3位の「ビジネスモデルの変革」と4位の「顧客重視の経営」の2つのIT投資の目的は、大きなITトレンド「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と深い関係性があると思われます。
特に1兆円以上の企業で見た場合、この2つのIT投資の目的が上位となります。さらに5位に挙げられている「商品サービスの差別化、高付加価値化」についても「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の実現方策の一つとも言えます。
1. ビジネスモデルの変革
2. 顧客重視の経営
3. 業務プロセスの効率化
4. 迅速な業務把握、情報把握(リアルタイム経営)
5. 商品サービスの差別化、高付加価値化
4. ビジネスのデジタル化
「ビジネスモデルの変革」のIT投資目的を実現するにあたって企業はどのようなテクノロジーを使おうとしているかは次のランキングに示されています。
1. IT基盤のクラウド活用
2. 既存システムのシンプル化、標準化(IT基盤、アプリケーション)
3. SaaS、パッケージなど既製アプリケーションの活用
4. データマネジメント
5. システム開発の内製化
このベスト5の方向性を見ると
「既存システムはなるべくシンプルにしてクラウド化、そしてパッケージ、SaaS化して手のかからないようにして、データマネジメントのような新しい分野に注力し、そうした戦略的DXシステムを内製化してノウハウとする」
というような方向性がうかがえます。
さて、このような「デジタル化」すなわち「DX」にIT予算全体の何割くらいを割かれているのでしょうか。業界ごとの数字が以下のようになります。
建築土木 19.1%
素材製造 19.4%
機械器具製造 30.8%
商社流通 36.0%
金融 29.5%
社会インフラ 36.5%
サービス 40.9%
業界全体として企業のIT予算全体の平均20%から40%くらいは「デジタル化」「DX」がらみの予算のようです。
5. データマネジメント
まず、企業全体の37.9%の企業が「データマネジメントを一部構築」しており、22.2%の企業がさらに一歩進んだ「組織的にデータ活用できる環境を構築済」みとあります。
つまり「データマネジメント」については、現在「5割以上の企業」が取り組んでいる、まさにホットな「ITトレンド」です。
業種でいくと、「金融」や「商社流通」の企業が多く、また売上1兆円以上の大企業では、その割合はさらに増えて「7割以上の企業」がすでに取り組みを行っています。
具体的には次のような企業内のデータを一元化、共有化しています。
1. 基幹系(取引)データ 69.7%
2. 管理業務系(経理、財務)データ 59.6%
3. 業務支援、情報系(顧客等)データ 54.6%
4. Webフロントシステム系データ 29.1%
またこの「データマネジメント」は効果をだすために試行錯誤している分野です。以下のような課題があると答えています。
1. データ統合環境の整備
2. データ分析活用のための体制、組織の整備
3. データ関連技術の取得や選択
4. 経営層または事業部門の理解、参画
システムを刷新してデータを使えるようにする1の「統合環境」はまず大事ですが、それに続いて2の「体制、組織」や3の「分析技術ノウハウ」そして4の「経営層の理解」が揃って、組織全体として「データマネジメント」のシステムが使えるようになるものと思われます。
6. IT組織とガバナンス
まず企業の「IT組織のミッション」を次の3つに分類しています。
1. 事業創出やビジネス面の変革
2. 業務やサービスの改善
3. システムの安定稼働
IT組織が充実しているはずの1兆円以上の大企業でも「事業創出やビジネス面の変革」のミッションについて「十分応えられている」としたのは全体のわずか「5.8%」しかありません。「事業創出やビジネス面の変革」はIT組織にとっては一番難易度の高い業務ミッションなのです。
ただ「事業創出やビジネス面の変革」が「一部応えられている」企業は「51.8%」あるので、それなりのトライはみなしているようです。
続いて、もう少し現実的なミッションである「業務やサービスの改善」は「37.3%」が「十分応えられている」とあります。ただ「業務やサービスの改善」を「一部応えられている」と合わせると「86.3%」となりますので、このミッションについては各企業ともにしっかりやっているようです。
最後に従来型のIT組織のミッションである「システムの安定稼働」については「十分応えている」が「78%」、「一部応えている」と合わせると「9割以上」にはなります。
ちなみに企業の売上規模が小さくなるにしたがって、この「ミッション達成度」は小さくなります。
例えば、売上規模が100億円未満の企業では、IT組織の規模も小さいため「システムの安定稼働」さえも「十分応えている」の割合が5割を下回っています。
やはり、中小規模の企業では少ない人数のIT組織で上記3つのミッションをこなさざるをえず、うまくいっていない現状があるようです。
加えて企業が一番充実している「IT組織機能」は次のとおりになります。
1. システム運用管理
2. 情報セキュリティ対応
3. ベンダーマネジメント
逆に一番うまくできていない「IT組織機能」は次の3つです。
1. ITを用いたビジネスモデルの企画、推進
2. データマネジメント
3. 新技術の探索評価
7.IT基盤
企業の「IT基盤」に対する現状の優先課題は次のようになります。
1. セキュリティ対策、管理の強化
2. IT基盤運用管理業務負担の軽減
3. IT基盤の保守運用管理費の削減
また、少し将来を考えた「IT基盤」の優先課題は若干様相が変わり、次のようになります。
1. セキュリティ対策、管理の強化
2. ビジネスに柔軟かつ迅速に対応できるIT基盤の構築
3. IT基盤の保守運用管理費の削減
ちなみに1兆円以上の大企業だと、上記「ビジネスに柔軟かつ迅速に対応できるIT基盤の構築」が1位となります。
次に「IT基盤」で重要なトレンドである「クラウドの活用状況」ですが、売上1兆円以上の企業で次のようなクラウド活用が盛んに行われています。
1. プライベートクラウドの構築
2. SaaSの活用
3. IaaS,PaaSの展開
上記3つともに「5割以上」の企業がすでに取り組んでいます。今後その割合は増えていくと予想されます。
8.システム開発
企業の「システム開発の工期遵守」(予定通り+ある程度予定通り)について、プロジェクトの規模別に次のような割合となっています。
100人月未満 85.3%
100-500人月 71.3%
500人月以上 54.2%
500人月以上の大型プロジェクトの半分弱が「納期を守れていない」という結果になっています。
この大型プロジェクトが「納期を守れていない」数字は過去4年でほとんど変わっていません。
日本では「納期通りにシステム開発プロジェクトを終わらせる」ことがまだまだ難しいようです。
プロジェクトのIT予算の遵守状況(予定通り+ある程度予定通り)も大型プロジェクトの「約半分」が「予算超過する」という数字になっています。
100人月未満 90.3%
100-500人月 80.8%
500人月以上 54.2%
システム開発プロジェクトが「納期を守れていない」「予算超過する」原因については次のような理由(ワースト3)となっています。
1.自社要員を開発需要に対して十分に確保できない
2.事業部側のスキル不足、プロジェクト参画度合いが低い
3.IT部門のシステム企画設計実装能力が十分でない
プロジェクトを成功に導く「人」の「量」「質」「スキル」が十分でないことが「納期遅れ」の理由です。
また良く使われている「開発手法」は「基幹系システム」や「管理系システム」では、まだ「7割前後」が「ウォーターフォール型」の開発手法を使っています。
しかし「業務支援、情報系」や「Webフロント系」では5割前後の企業が「反復型」や「アジャイル型」の開発手法を使っています。
各企業ともに例えば「DX系のシステム構築」では、この「反復型」や「アジャイル型」のアプローチを利用する機会が増えているようで
9.グローバルIT戦略
企業の海外IT要員数は、連結売上1兆円以上の大企業では「500人以上」配置している企業の割合が前年(2018)の8.8%から今年(2019)は17.7%と倍以上に増えています。
売上規模が小さな企業でも、割合は少ないですが、海外IT要員数は毎年増えている傾向のようです。
実際の「グローバルシステムの統一」状況は次のようになります。
1. マルチシステム構成 40.2%
2. サイロ化 19.2%
3. グローバルで1システムだが拠点ごとのインスタンスが異なる 15.2%
日本企業のグローバル化はM&Aで広げていくことが多いためか、「6割以上」のグローバル企業が「統一はされていない」ということです。
以上「10分でわかる企業IT動向2020」として簡単にまとめました。
出展は以下の資料となります。
「企業IT動向調査報告書2020」
ユーザー企業のIT投資・活用の最新動向(2019年度調査)
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)
皆様の仕事やプレゼンの参考になれば幸いです。
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