経営理念、経営ビジョンのたて方 〜つまらない会社仕事をワクワクさせる
しばらくぶりです。今回は、ずばり経営理念、経営ビジョンのたて方についてポイントを説明したいと思います。
みなさんは以下の逸話はご存知でしょうか。
むかしむかし、ヨーロッパのある建設現場で旅人が大工に何をしているのかを尋ねました。すると最初の大工は
「このいまいましい石を削って四角くしているんだよ。」
と言いました。
旅人は別の大工に同じ質問をしてみました。するともう一人の大工は全く別の答え方をしたのです。
「この街一番の大聖堂の柱を作っているのさ。」
これはそのまま、現代の企業組織にも当てはまります。経営理念、経営ビジョンのない組織の従業員はきっとこういうのではないでしょうか。
「このいまいましいスプレッドシートを作っているんだよ。」と。
さて大工が自分の仕事の目標が「大聖堂を作ることである」とマインドセットするように、組織の従業員の仕事の目標を、社会にとって意味のあるものに設定できないでしょうか。それを考えるのが「経営ビジョン」となります。
たとえば医薬品のメルクという企業の経営理念は
「医学を進歩させ、人類に奉仕する理想を純粋に追求する」
えという素晴らしいものです。また日本の企業でもトヨタ自動車の基本理念は
- 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
- 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
- クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
- 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
- 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
- グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
- 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
の7つの目標を掲げています。
しヨーロッパの街の大工と同様に組織で働く従業員に経営理念、経営ビジョンを必要なものです。それは組織のベクトルをまとめていくのみならずに、人間が仕事をしていく際のワクワクしたモチベーションにつながるからです。 またそれは事業や仕事選別の価値基準にもつながり、さらにはその目標に向けて新たな事業アイデアを創造していく源泉にもなるのです。
また経営理念、経営ビジョンをあるだけでも意味がなく、それをどのように組織の構成員に伝えて行くか、浸透していくかも重要ではないかと考えます。各従業員が明文化された組織の経営理念を理解し、それに共感していることが重要です。
それ以外の世界有数の大企業の例を見てみましょう。
<コカコーラ>
世界中の人々のからだと心、そして精神をリフレッシュします ・私たちのブランドやさまざまな活動を通して、人々が楽しく前向きになれるひとときを提供します ・私たちが関わるすべての場所・分野において、価値を創造し、変化をもたらします
<マイクロソフト>
世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること
ここで面白いのは、あの優良企業のアップルコンピューターは、明確な経営理念をもっていないようです。でもアップルコンピューターの社員は常に世の中に革新的なテクノロジーを実現させることに誇りを持っています。これはジョブズが常に、固定された経営理念以上の強いメッセージを、そのとき、そのときに社員に発信してきたからではないかと推測されます。
つまり経営理念、経営ビジョンのポイントは
1.明文化すること
2.従業員に浸透させること
の2つが満たされている必要があります。
またこのアップルコンピューターの例を考えると、
もしかしたら、
3.時代に合わせて「解釈」していくこと
も必要なことのなのかもしれません。
次回は実際に経営理念、経営ビジョンをたてる方法について解説しましょう。