つまらない仕事をワクワクさせる〜チームのビジュアル化
今回は、「つまらない仕事をワクワクさせる」というテーマで、面白いテクニックを紹介します。この元となるのは「ビジュアル・ミーティング」という手法です。アップル・コンピュータの研修にデビッド・シベットというファシリテーターの方が使って有名になり、今では本も出ています。
1985年の夏、アップル・コンピュータ社では、社内研修期間として「アップル・ユニバーシティ」が立ち上がりました。35人の若きリーダーたちが参加した研修では古びた建物の中で白い布が覆われた大きな家具が置かれていました。そしてオープニングで、「白い布の下には家具があります。最初の課題は皆さん自身のベースキャンプをこの会議室に作る事です。」としてグループ毎に自分たちのベースキャンプをまず作らせたのです。
そしてキャンプの準備が出来上がるとコンサルタントが、壁一面に貼った巨大な日程表を使って、1週間のオリエンテーションを、登山をイメージして説明しました。参加者はまるで自分が登山チームで共通のゴール(山頂)に対して一歩一歩近づくように研修、ディスカッションが進行していきました。
ここで言いたい事は、ワクワクした仕事をするためには、メタファーとビジュアルがあることが大事であるということです。パーソナルコンピュータの原型ダイナブックを提唱したアラン・ケイは「ビジュアル化はIQを80ポイント上げる効果がある」と言っています。
チームミーティングをする際に、このビジアルグラフィックを使ったメタファー、すなわち我々の活動を示す比喩を描く事で、そのチームワークの生産性やモチベーションが格段に上がる事が実証されています。メタファーの例としては以下のものがあります。
- 自然を使ったメタファー(大地の広がり、青い空などの自然)
- 旅を使ったメタファー(今いる場所からどこかの目的地に向かって行く)
- 乗り物を使ったメタファー(車、バス、船などそしてそれをどうやって動かすか)
- 別な分野に置き換えるメタファー(スポーツ、戦争など他のものに置き換えてみる)
またそのチームで将来についてのビジョンを創るのであれば「カバー・ストーリー・ビジョン」をいうフレームワークを使い、メンバー自身が思い描いたビジョン(将来)を新しい雑誌のカバーページにどう描いていくかというグラフィカルな手法があります。
またある場合には、ビジネスや仕事を庭の草木の様子に例えて絵を描いてみたり、またコンピュータに置き換えて表現してみる。ビジネスのコアとなるものがOSであり、そのうえで動かしている仕事がアプリケーション、そんな絵をホワイトボードや模造紙に描いてみると会議の雰囲気が一変します。
なかなか日本人のビジネスピープルには絵を描くという行為は難しいかもしれませんが、例えば簡単なやり方として、登山の絵のテンプレートを決めておいて、会議の最初に頂上とその途中の到達点を書き込んでマイルストーンをビジュアルに共有する、といった方法がやりやすいと思います。
是非、このチームワークがそして会議がワクワクするビジュアル手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ビジュアル化の手法は特にチームビルディングやチームワークに有効です。新しくチームを立ち上げた時、そのチームメンバーのロイヤリティや絆(きずな)というものが大事ですよね。例えば
我々のチームは戦場で限られた物資で知恵と工夫をこらして敵と戦っている、とか、
我々は野球のチームで今、相手チームに1点リードされているけれど、9回の裏にチャンスが回って来た、
とか自分たちのチームや会社を何かメタファーに例えることによって、ワクワクしてくるときがありませんか? そのワクワクを持続させるために絵を描いて、そのシンボルを作るのです。ビジュアルなメタファーは仕事を楽しくワクワクしたものするのです。
参考文献:「ビジュアル・ミーティング」デビッド・シベット著