新トレンドによってプレーヤーは入れ替わる!?
前前回、前回とシステム構築のトレンドを論じてきたが、今回はこのトレンド毎にどのようなプラットフォームとプレーヤーが登場して来たのかを見てみよう。
SI業界には大きな二つのセグメントが存在する。大企業向けのシステム(エンタープライズ)と中堅、中小企業向けのシステム(SMB)だ。
(筆者作成)
上の図のエンタープライズ分野から見てみると、元々、日本は銀行や大手製造業がコンピューターシステムから導入が進んでいった。その際のプラットフォームがメインフレームである。
1960年代〜80年代までのメインフレーム全盛期は、それまでIBM、ユニシスなどの海外のメンフレームメーカーがメインプレーヤーだったが、コンピューター輸入自由化に向け日本の市場を保護するため、通産省指導のもと、日本でも国産のメインフレーム(汎用機)が開発された。
そこで台頭したのが、多額の開発費を国から援助を受けた、富士通・日立・NEC・東芝・三菱電機・沖電気であった。
汎用機の導入に関しては、NTTデータ、NSSOL、CSK、住商情報システム、伊藤忠CTC、TIS、メインフレームメーカーの子会社などの会社がこの時期に誕生し請け負ってたが業界のメインプレーヤーではなかった。
1980年代から2000年までの次のトレンドでメインプレーヤーに躍り出たのが、メインフレーム時代に導入や開発請け負っていたプレーヤー達だ。
彼らは、メインフレームの代わりに安価で性能のよいUNIXサーバーを売ることにより成長した。いわゆるオープン化だ。
この時期を境に、メインフレームでメインプレーヤーであった沖電気や三菱電機、メインフレームの関連商品を販売していた日本NCRなどは、完全に波に乗り遅れニッチな領域を選択せざるを得なかった。
オープン化の波に乗ったプレーヤーたちは、WEB化の時代でもうまく波を越え、現在のSI業界のメインプレーヤーである。
次にSMB市場であるが、元々は、メインフレームのような高機能、高額なシステムではなく、会計や給与といった簡単な計算をコンピューターで実行するために導入されてきた。ミニコン、オフコンと呼ばれるものだ。
当時のメインプレーヤーは、NEC、富士通、三菱電機、東芝、内田洋行などである。この市場でもクライアントサーバー化の波を受け、IAサーバーとパッケージといったセットでオフコンを入れ替えていった。ここで台頭してきたのが大塚商会やオービックである。オフコンメーカーは、カニバリゼーションを起こさないために子会社を作り対応した。しかしそれがうまく機能しなかった三菱電機などは、SMB市場のインテグレーションでは、完全に出遅れてしまった。
このように、新たなトレンドにうまく乗ることにより新たなメジャープレーヤーが生まれている。一方で、その波に翻弄され淘汰されるプレーヤーも出てきている。
そして現在、今、まさにこのトレンドが変化しようといていると私は考えている!!
システム構築業界は、一旦成熟して落ち着くと次のテクノロジーのトレンドで再度成長軌道に乗るサイクルをマクロ的には繰り返しているからである。そしてこの時に落ちるプレーヤー、メインに駆け上がるプレーヤーは必ず出てくる。
では次のトレンドは何が来るのであろうか。
それを見分けるポイントとしては、主要な売上を構成するテクノロジーが代替した際にトレンドが変化し、プレーヤーが入れ替わると考えている。
(出典:JISA 情報サービス産業 基本統計調査 2013年版)
上記の図からすると大費目であるSIサービス、ソフトウェア開発を大きく変化させる手法やテクノロジーが次のトレンドを生むと考えている。
現在はクラウドサービスがこれを変化させるだろうと予想はしているが、これではなく次の新たなテクノロジーかもしれない。
ただ言えることは、既存のメインプレーヤーや、カニバリゼーションを恐れず主要売上項目を変える新しいビジネスにチャレンジすべきである。新興企業は、新トレンドに一点集中して、メインプレーヤーに躍り出るべくチャレンジする必要があることは確かだ。ここ近年の新トレンドの波にチャレンジしチャンスに出来るかどうかは自分たち次第である。
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Takeaway〜新トレンドは、既存売上構成の大費目を変化させるテクノロジーを見よ!!
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