常駐型SESはグレーゾーン!?
常駐型SESって法律違反じゃないんですか?
先日の【常駐型SESは、悪魔のささやき!?】を見た業界以外の人から素朴な疑問を投げかけられました。これを言われた瞬間に即座に【NO】と言いにくいのが、常駐型SES(システムエンジニアリングサービス)なのです。
現在のSI 業界は、単純に顧客との準委任契約で、常駐するだけでなく、多重構造の中に、常駐型SESがあることが厄介です。
そもそも多重派遣は、中間業者による労働搾取につながることや、派遣元・派遣先の企業と労働者に対する責任の所在が不明瞭にもなるため職業安定法第44条、労働基準法第6条(中間搾取の禁止)で禁止されています。
SES契約は、「業務委託契約」によって定義され、基本的には、「作業時間あたり○○円」といった形での報酬支払い契約を結びます。ここで多重契約が発生する場合に課題があります。発注者→委託先→孫委託先と多重の契約で常駐している場合は、発注者からの指示を、受注側雇用のエンジニアが、直接受けてしまうと、「実質的には派遣」とみなされます。
契約上の作業責任者に指揮命令権があるため、2次請けの会社所属のシステムエンジニアは、1次請けの会社から指示を受けて作業をすることになり、発注者からの指示を直接受けないことが原則となります。
実際プロジェクトを進めると、そのような形を守れることは不可能に近いです。常駐部屋に一次受けも二次受けも一緒の部屋に常駐すれば、一次受けのプロパー社員がいなければ、二次受けに依頼してしまいます。トラブルなんか起こった時にもやっぱり直接依頼してしまいます。またITは技術が細分化しているので、パートナーの方しかわからない部分も多くあるので、聞かざる得ない状況になっていることもしばしばあり、それが度を越すと指揮命令する形となってしまいます。
SESの提供会社は、派遣業の免許を持っていない場合もあり、それどころか、他社の社員をさらに他の会社に派遣する「SES契約」に名を借りた「多重派遣」が行なわれている場合もあります。
発注会社からの見方をすると、
常駐型SESではなく、派遣契約で社員を抱えると、3年後正社員として迎え入れる覚悟が必要です。開発はプロジェクト単位に進むため、正社員で受け入れても、次のプロジェクトがあるかどうかは不明なので、そのようなリスクを負えません。
そのため、SI企業側へこの派遣の肩代わりを「準委任契約」名の下に行っているので、いびつな状況を生んでいるのです。
この状況については、業界自ら自主規制などを行い、正しく運用されるように是正していくべきだと考えています。
またIT自体と競争優位の源泉として、常にITを改善していく仕組みをユーザー企業で構築し、ユーザー企業側に開発者が移ることによって、ユーザー側でコントロールできる範囲を増やし、多重に派遣し常駐する、といったことがないような世の中にシフトしていくべきだと思っています。
「SIビジネスの再生のシナリオをどう描けば良いのか」
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「システムインテグレーション再生の戦略」
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SIビジネスに関わる方々で、
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