システムインテグレーション業界は再生する!?
ここ近年、システムインテグレーション業界(SI業界)は、成長しない産業だと言われて久しくありません。SI業界はもうおしまいなのでしょうか。
確かに、人月積算に頼った収益モデルは、明らかな構造的問題を抱えています。これに加え、クラウドや人工知能の普及が工数業務を代替する流れは、ここに来てますます加速してきています。
現在、SI産業は岐路に立たされています。私が就職する10年以上前は、SI業界は花形産業で、ITといえばSI業界でした。国立の大学院の情報処理工学を学んだ人は、皆こぞってSI業界に就職する状況でした。
しかし、いまでは、「きつい・厳しい・帰れない・規則が厳しい・休暇が取れない・化粧が乗らない・結婚できない」"7K産業"と揶揄されるほどブラックな業界との評判も立ち、SI事業者は近年の就職ランキングではTOP50にすらランクインしていない状況です。2001年の就職ランキングTOP10には、NEC、富士通、日本IBM、NTTデータなどがランクインしていたことを考えると、大きな違いです。これは、我々の努力が足りないこともさることながら、努力する方向性がまちがっていたのではないかと考えています。
この度、その努力の方向性を正しい方向に戻すべく、現状の環境を歴史から紐解き、マクロ視点、定量的な視点も含めさまざまな観点から分析し、わかりやすい形で戦略の方向性を「システムインテグレーション再生の戦略」と題し書籍にいたしました。
「システムインテグレーションの崩壊」の著者、斎藤昌義と二人三脚で議論を重ね描き進めてまいりました。
本書は、戦略を提言するだけでなく、その戦略の種を実践しようと試みている人たちにも多数のインタビューをさせていただき、その取り組みやノウハウを紹介しています。
私は、SI業界は魅力的な産業に復活できると思っております。本書をお読みいただき「魅力的な産業へ復活させたい」と思っていただける方々が少しでも増えれば、この思いも実現できるのではないかと信じています。そもそもITは、変化が激しく、毎日ワクワクする魅力的なものです。そのITをビジネスにつなげるシステムインテグレーションもそうできると信じています。
2016年1月26日