通訳案内士試験がさらに緩和されました
4月13日に「通訳案内士試験ガイドライン」改訂のアナウンスがありました。もしかすると13日でなかったのかもしれませんが、Facebookの「通訳案内士(通訳ガイド)試験」のタイムラインでシェアされたのが、この日でした。
■一層の易化が予想される平成27年度の試験
気になる内容ですが、以下の赤字部分が変更点となっています。
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- 日本地理、日本歴史について主な事柄(日本と世界の関わりを含む)のうち、外国人観光旅客の関心の強いものについての知識を問う
→日本の観光地等に関連する主な日本地理・日本歴史の事柄のうち、外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識を問う - 内容は、中学校及び高校の教科書並びに地図帳をベースとし、地図や写真を使った問題を3割程度出題
→内容は、地図や写真を使った問題を中心としたものとする
- 日本地理、日本歴史について主な事柄(日本と世界の関わりを含む)のうち、外国人観光旅客の関心の強いものについての知識を問う
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- 高校の現代社会の教科書をベースに、新聞(一般紙)に掲載された最近の時事問題や、最新の「観光白書」に掲載されている観光をめぐる動向を加味したもの
→最新の「観光白書」や新聞に掲載された時事問題をベースに出題し、外国人観光旅客の関心の強いものについての基礎的な知識を問う
- 高校の現代社会の教科書をベースに、新聞(一般紙)に掲載された最近の時事問題や、最新の「観光白書」に掲載されている観光をめぐる動向を加味したもの
地理と歴史については、第 1項は今までと変わりがないと思いますが、明確にアナウンスされました。筆者は事あるごとに申し上げていますが、地理は観光資源、歴史は文化史を中心に勉強すれば、十分に合格ラインに届きます。実際、学生時代に一度もまじめに地理を学んだことがなく、高校時代には日本史を教わらなかった筆者が、ゴールデンウイーク明けからこの戦略で受験勉強に取り組んで、1次試験をクリアしたので、間違いありません。
一般常識を苦手とする方も実は結構いらっしゃるのですが、これも範囲が明確になったので、対策が容易になりました。
以上を踏まえれば、今回の改訂で「対策が極めて容易になった」と言ってもよいかもしれません。
英語は昨年からTOEICのスコアで免除されるようになりましたが、そもそもマークシート化した時点でかなり容易になったという説もあります。筆者の見解では、1次の英文試験が一番難しかったので、この点がまず緩和されていたことになります。
なお、今回のガイドライン改訂で、地理と歴史の合格ラインは70点に引き上げられました。この結果、60点が合格ラインなのは一般常識だけで、他の科目は70点が合格ラインとなっています。試験問題の易化が進むと予想されるだけに、つまらないミスをせず、着実に得点する必要があります。
■正規の通訳ガイドになろう
通訳ガイド試験がここまで容易になったのですから、特例ガイドではなく、正規のガイド資格をとるべきだと思います。
今後も引き続き規制緩和が続き、通訳案内士法に基づく業務独占は早晩撤廃されるでしょう。そうすると、特例ガイドではなく(合法的に)無資格で通訳ガイドを行う人が増えると思います。しかし、法令に基づく業務独占があろうがなかろうが、国家試験をパスして資格をもっている方が、端的に能力を示せると言えます。
筆者は中小企業診断士で、これは経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。しかし、経営コンサルタントを名乗るには何の資格も必要ありません。それでも、中小企業診断士であれば、一定の資質があることを端的に言えます。
経営コンサルタントが中小企業診断士になるのと同様、業務独占が撤廃されたとして、ガイドが通訳案内士になることにはメリットがあると思います。むしろ、業務独占が撤廃されたときこそ、資格をもつことによって差異化が図れるでしょう。資格をもたないガイドが増えるわけですから。
なお、有資格者であるというだけではアピールが弱く、独自の強みやサービスをもつ必要があるのは言うまでもありません。これについては、またの機会に書きたいと思います。