世界初の本格的SNSとソーシャルグラフ
執筆中。スケジュールが遅れて(クリスマスというのに引き込もっているし)イライラがつのっているので、気分を変えたエントリーを。
世界最大のSNSがフェイスブックならば、世界初の本格的SNSを作ったのは実は僕だと証明できる。
僕は1996年から1999年末にかけてマレーシア、シンガポール、香港の3拠点でネット事業を営んでいたが、その頃日本でもネットベンチャーの上場ブームが起きており、ちょっとしたバブルが発生していた。それをみた僕は、日本語と英語の両方で日本人とアジアの知識層を結びつけることを目的にしたソーシャルネットワークサービスを考案し、NTTコミュニケーションズのマレーシア法人の技術支援と出資を受けて、新たにクアラルンプールと東京にジョイントベンチャーを立ち上げた。フレンドスターよりも、ミクシィよりも、もちろんフェイスブックよりも数年早く、世界初のSNSを僕が作ったのだ。しかもソーシャルゲーム的な要素もある。
このサイトは、友人紹介や就職支援、個人売買情報などの提供をはじめ、無料のWebメールサービスやマイページ開設を無料で行なえる。登録を行なうためにはブラウザー上で、名前/国籍/血液型/生年月日などを入力する必要があった。
日本語と英語をサポートするバイリンガル対応で、マレー語版の開設も検討していた。中核となるWebアプリケーションは、NTTのマレーシア法人であるNTT MSCの技術協力を受けて共同開発をしたものだ。
このサイトの大きな特徴は、17のジャンルに分けたレイティング(格付け)のシステムであり、レイティングの質問項目に答えることでマイレージがたまり、一定額に達すると商品がもらえるゲームに参加できる。また、この結果を利用して、自分と似た考え方を持つ人を探すことができる。承認依頼を受けてつけてもらえると互いにショートメッセージやWebメールのアドレスを教え合う事ができるというサービスだ。そのほか、性別や国籍、血液型などの属性別でも検索が可能だった。
僕は1999年8月30日公開のAscii.jpのインタビューに以下のように答えている。
「ターゲットは世界全体で、アジアに絞るつもりはありません。そのために英語ページも用意しています。このサイトのコンセプトは、“マッチングコミュニティー”の場を提供するというところにあります」
「マッチングは個人と個人を結ぶこと、友達探し、恋人探しだけにとどまらず、仕事を探している人と企業、業務提携をしたい企業と企業などと幅広く行なっていくつもりです。オンラインコミュニティーという形式で人を集め、アンケートを送るという方式で市場調査を行なうサイトは今までにも沢山ありました。しかし、我々が他のサイトと違うのは、我々がレーティングと呼んでいるアンケートに答えた人が、その情報をもとに自分の感性に一番近い人との友達探しが行なえることです」
「17項目あるレーティングのうちのひとつに答えることによって、同じ項目でまったく同じような傾向の答えを出した人を探し出せる。逆に、自分とはまったく感性の違う人と出会うことも可能です。また、レーティングに記入して貰った際にはポイントがたまり、それを商品などと交換できるというメリットもあります。レーティングはゲーム感覚ですから、“さりげなく”市場調査が行えるというのがいいところなのです」
さらにすごいのは、NTTコミュニケーションズ マレーシア法人のある日本人技術者が作った、ジャバスクリプト(JavaScript)によるソーシャルグラフ表示機能だ。レーティングシステムによって、サイトを介して交流する既存・将来の友人や恋人候補達と自分がどのくらいの距離感でつながっているかを動的に表示できるのだ。フェイスブックの中にも人気アプリとして同じような機能があるが、彼らより10年前に、日本人エンジニアがこれを実用化していたという誇るべき事実をここに紹介しておきたい。逆に、10年早すぎたことを悔やむ胸中も吐露しておこう。