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ソフトバンクのiPhone 3Gローカライズに対する評価

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皆さんご存じと思うが、2008年10月30日、ソフトバンクがiPhone 3Gの販売てこ入れ策を大々的に発表した


内容は、


 



  • 絵文字対応

  • 充電式バッテリ付きのワンセグ対応

  • iPhoneユーザーへのBBモバイル無線LANサービスの無償化


 


 


絵文字については言うまでもないことだが、一般のケータイユーザーをiPhoneに引き込むためにかなり有効な施策となるだろう。絵文字が使えないからiPhoneへの切り替えを迷っていたソフトバンクユーザーは多かったはずだ。ただ、ドコモやauユーザーにとって決め手になるというと、そうではない気がする。


絵文字対応は、他社ケータイのユーザーからの切り替えよりは、


・従来のソフトバンクケータイユーザーからのiPhone切り替え


・他社ケータイとiPhoneの二台を使っているユーザーに、他社ケータイを解約させ、
 iPhoneのみにさせる


という効果が大きいだろう。(もちろん他社ケータイからの乗り換え促進にも多少は寄与するだろうが、それは短期間での効果が見られるというよりは、半年とか1年という中長期的な見方をしたほうがよいと思う。iPhoneユーザーとの絵文字メールの交換が一般に見られるようになって初めて、他社ケータイユーザーにも安心が伝わることだろう)


実際、僕はいまだにケータイメールしか使えない友人・知人(=絵文字を使いたいひと)との交信用およびSuica利用のためにINFOBAR2を併用している。モバイルSuicaが使えなくなるのはやや不便だが、二台持ち歩くのはもっと不都合が多いので、年内にiPhone一台に絞り込むつもりでいる。


新規獲得に直接役立つわけではないような気がする絵文字だが、少なくとも併用ユーザーの他社ケータイ解約を促進することができれば、自社売上にはつながらなくても他社の売上を削げるから、戦争としては正しい戦術といえるだろう。


 


次のワンセグだが、僕自身はINFOBAR2のワンセグも滅多にみないので、正直どうでもいいかなと思う。いまのケータイの最新機種はほとんどワンセグ対応らしいから、あればあるだけいいかもしれないが、個人的には要らないな(笑)。バッテリーの問題もワンセグ機能付きバッテリーは大きすぎるし、サードパーティのバッテリーである程度対応できるようになったので、これもまあ高得点は与えられない。


 


そして最後の無線LANの無償提供だが、これは実は非常にでかい。というのも、3G回線よりは無線LANのほうがやはり通信速度は速いし、か細いソフトバンクの3G回線への負荷を分散できるからだ。そしてAPP StoreやiTunes Storeでのゲーム/楽曲などのダウンロードは無線LANでしか使えないから、これらの販売促進にもつながって、iPhone 3Gユーザーにはめちゃくちゃうれしい、効果のある施策となる。この施策が、最終的にはiPhone 3Gのユーザー数を最も増やせる最良の一手になると僕は思う。


特に、ソフトバンクモバイルが、もちろん米Appleが進めている エンタープライズスマートフォン市場への強力な後押しになることも特筆すべきだ。回線が速ければ、そこで動かせるエンタープライズWebアプリもその機能を十分に発揮できる。僕たちモディファイも目指しているスマートフォン市場の拡大は、法人ユーザーがノートパソコンからスマートフォンに移行してくれるという見通しにかかっているから、このソフトバンクの決断はうれしい限りである。


 


発売からわずか半年でここまでの進化を可能にし、絵文字対応などのローカライズを米Appleに押し通せたのは、やはりソフトバンクの気合いのなせる業だろう。


こうしてみると、ドコモでもKDDIでもなく、ソフトバンクをパートナーに選んだのは、Appleとしては最善の選択だったと言わざるを得ない。日本はよくも悪くも非常に特殊な市場であり、そこでiPhoneの、そしてスマートフォンのプレゼンスをあげていくには、相当の覚悟と大胆な企画力・実行力がなければならない。それがあるキャリアといえば、ソフトバンクをおいて他にない。ドコモもKDDIも守るものが多すぎて、ソフトバンクのマネはなかなか出来なかったろう。


 


いずれにしても、iPhone 3Gの日本進出を失敗だったと決めつけたい人たちには申し訳ないが、スマートフォンという市場はこれからブレイクしていくし、現在のケータイ需要の4-5%でしかない市場は、3年以内に米国並みの20%ほどに膨れ上がるだろう。つまり4-5倍になる、ということだ。


日本のケータイもまた、どんどんタッチパネル化し、Webブラウジングもケータイ専用ではなく、PC Webと共通のサービスを利用することが増えていくだろう。そうすると、ノートパソコンが(MacBookに代表される)高機能=ハイエンドノートと、5万円以下のネットBookなどのローエンドノートに二分化(この需要も20:80)しつつあるように、スマートフォンとケータイに二分化されつつも、基本的なWebブラウジング機能の使い勝手は限りなく似てくる、というよりiPhone流のやり方に影響を受けていくと考えている。


 


 


 


 


+追記:

昨日有楽町のビッグカメラに寄って、iPhone用のアクセサリーのコーナで物色していたのだが、プロテクション用のカバーなどを熱心に見ている女性が多いのに少し驚いた。
iPhoneはIT業界の好事家の次には、女性を中心に広がっていくのだろうか。そうかもしれない。そうすると、やはり絵文字対応は非常に好意的に迎え入れられることだろうな。

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